今日は、企業経営理論 R5(再試)第32問 について解説します。
財に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア サービス財のサブ・サービス(例えば、診療所の清潔さや看護師のホスピタリティ)の拡充には集中化と広範化の 2 つの方向性がある。一般に、経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを集中させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを広範化させることで、競合サービスとの差別化を図る。
イ スマートフォンからアクセスして視聴できる映画などのデジタル財は、在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴を持ち合わせている。
ウ 製品を便益の束と捉えると、有形財には製品の機能やデザイン、販売後の保証や返品などの販売条件に加え、アフターサービスや販売後の顧客対応といった売り手の行為や活動も含まれる。
エ デジタル財と有形財とでは、非排他性という特徴において同じであるが、複製可能性と非空間性という特徴において違いがある。
解説
財の分類に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:サービス財のサブ・サービス(例えば、診療所の清潔さや看護師のホスピタリティ)の拡充には集中化と広範化の 2 つの方向性がある。一般に、経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを集中させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを広範化させることで、競合サービスとの差別化を図る。
×不適切です。
サブ・サービスの差別化には集中化(特定のサブ・サービスに特化)と広範化(幅広いサブ・サービスを提供)の2つの方向性がある点は正しいですが、「経営資源が少ない企業は広範化させる」という記述は逆です。
経営資源が乏しい企業はむしろ集中化によって競争優位を狙うのが一般的です。よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢イ:スマートフォンからアクセスして視聴できる映画などのデジタル財は、在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴を持ち合わせている。
×不適切です。
デジタル財の特徴としては、複製可能性・非空間性・非排他性などがありますが、「在庫困難性・不可逆性・不可分性」はむしろサービス財の特徴です。映画などのデジタルコンテンツは在庫可能であり、また複製も容易です。よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢ウ:製品を便益の束と捉えると、有形財には製品の機能やデザイン、販売後の保証や返品などの販売条件に加え、アフターサービスや販売後の顧客対応といった売り手の行為や活動も含まれる。
〇適切です。
選択肢の説明の通り、製品は便益(ベネフィット)の束と捉えられ、その構成要素には製品の属性(機能・デザインなど)に加えて、保証・アフターサービス・販売条件などの売り手の活動も含まれます。
選択肢の説明の通り、まとめシートの内容と一致しているため、この選択肢は〇適切です。
選択肢エ:デジタル財と有形財とでは、非排他性という特徴において同じであるが、複製可能性と非空間性という特徴において違いがある。
×不適切です。
「非排他性において同じ」という記述が誤りです。有形財は購入者しか使えないため排他的ですが、デジタル財は非排他的(他人も同時に利用できる)な特徴を持つため、両者は非排他性の観点で異なる特性を持ちます。よってこの選択肢は×不適切です。
以上から、正解は選択肢ウとなります。
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