【過去問解説(企業経営理論)】H26 第28問(設問1,2)  価格戦略、チャネル戦略

今日は企業経営理論H26第28問について解説します。

 

H2 企業経営理論 第28問(設問1,2)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
Y氏は、国内外の生産者への特別発注で仕入れたカジュアル衣料品と雑貨を品揃えする小売店15店舗を、地方都市の商店街やショッピングセンター(SC)の中で、チェーンストア・オペレーションによって経営している。近年、自店舗で取り扱う商品カテゴリーにおける e-コマース比率が上昇していることを受け、Y氏はオンライン・ショッピングモールへの出店を行っている。実店舗の商圏ではなかなか売り切ることのできなかった商品も遠隔地の消費者が購買してくれるケースが目立ち、今やインターネット店舗事業の販売額が実店舗の販売額を上回るようになっており、顧客の購買履歴を活用した商品提案も好評である。
今後の課題は、各シーズンの在庫を適切な時期に望ましい価格で販売し、常に新鮮な品揃えを提供することである。そのための手段としてY氏は各種の①価格・プロモーション施策を試み、その効果測定を通じた今後の展開の検討を行っている。
もうひとつの課題は、②買い物の目的・状況によって特定の実店舗で購買したり、インターネット店舗で購買したりする顧客の増加が顕著になってきていることである。この点についても今後、有効な対策を講じたいとY氏は考えている

(設問1)
文中の下線部①に示す「価格・プロモーション施策」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア Y氏の小売チェーンでは毎年夏、ヨーロッパのメーカーとの製販連携の取り組みを通して仕入れた高品質のポロシャツの販売強化を行っている。例年、3,500円から4,500円の範囲で価格設定をしていたが、需要数量に大きな差はなかった。今年、これを5,200円に設定すると需要数量は激減した。このような効果を、端数価格効果という。
イ Y氏の店舗の品揃えの多くは「こだわりの特注品」であるため、Y氏は過度の値引き販売は極力避けるようにしているが、過去3シーズンにおいては、商品ごとに大幅な値引き価格を表示したセールをしている。これらのセールによる消費者の内的参照価格の低下は起こりにくい。
ウ Y氏は以前、消費者吸引を意図して世界各国から仕入れた雑貨を100円均一で販売するキャンペーンを継続的に実施していた。日本ではほとんどみられない商品ばかりだったため、買い物客の多くは価格を品質判断の手段として用い、「これらは安かろう、悪かろうだろう」という結論に至る場合が目立った。
これは、価格の品質バロメーター機能である。
エ Y氏は顧客ひとりあたりの購買単価を上げるための施策として、キャンペーン期間中に一定数量(点数)以上の買い物を行った顧客に対して、次回以降に使用可能なバンドル販売型買い物クーポンを配布した。この種のバンドル販売の欠点は、消費者の内的参照価格が下がることである。

(設問2)
文中の下線部②に示す状況に対するY氏の対応策に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア インターネット小売事業と実店舗による小売事業との間の明確な線引きが今後より必要となってくる。そのため、顧客対応のための組織体制づくりにおいても両者の相乗り状況を排除して、それぞれの形態固有のサービス品質の向上に取り組んでいくことが望まれる。
イ 同じ顧客であっても、実店舗で購買する場合とインターネット店舗で購買する場合とでは買い物目的は大きく異なるので、顧客データ上の扱いとしては別々の個人として認識する方が有効である。
ウ 顧客データ分析の基盤がかなり整ってきている場合には、オムニ・チャネル化の推進が望ましい。そのプロセスでは、インターネット店舗とすべての実店舗を横断する形での顧客情報の統合や在庫データの共有によって、従来難しかったサービスの提供が視野に入ってくる。
エ 消費者費用の観点から判断すると、インターネット店舗で購買した方が、顧客にとってより負担の少ないことが明らかである。したがって、今後はインターネット販売をさらに重視することが望ましい。

 

解説

設問1が価格戦略、設問2がチャネル戦略に関する問題です。

企業経営理論のマーケティングの問題でよくある、プチ事例問題となっています。
この手の問題は、①下線部の用語だけ見ればいい問題と、②文章をしっかり読み込まないといけない問題の2タイプがあります。

手早く回答するためには、2次試験で与件文の前に問題文を読むのと同じように、先に問題文の方を読んで①のタイプなのか②のタイプなのか判断すると良いでしょう。

今回の場合、問題文を読んでみると、設問1は①のタイプ、設問2は②のタイプであることがわかります。

それを踏まえて、それぞれの設問を見ていきましょう。

 

【設問1】

設問1は、冒頭のプチ事例と関係なく、価格・プロモーション施策について問われている問題です。

それでは各選択肢を見ていきましょう。

 

選択肢アの端数価格効果というのは、198円や3,980円といったように、切りの良い金額よりも少しだけ安い金額に設定することで、消費者に割安感を与える方法です。
そのため、この選択肢の説明は端数価格効果の説明ではありません。よって、この選択肢は×です。
「例年、3,500円から4,500円の範囲で価格設定をしていたが」とありましたので、この問題は、慣習価格について書かれているものだと考えられます。

選択肢イは、「消費者の内的参照価格の低下は起こりにくい」とありますが、大幅な値引き価格を表示したセールは内的参照価格の低下につながります。よって、この選択肢は×です。

選択肢ウは、その通りで、消費者が良く知らない商品の場合、価格の品質バロメーター機能は特に働きやすくなります。

選択肢エは、「この種のバンドル販売の欠点は、消費者の内的参照価格が下がることである」とありますが、バンドル販売型買い物クーポンは、直接の値引きではないため、消費者の内的参照価格は比較的下がりにくいと考えられます。よって、この選択肢は×です。

以上から、設問1の正解は選択肢ウです。

【設問2】

設問2はプチ事例問題ですので、冒頭の文章を踏まえつつ解答する必要があります。

選択肢アは、「インターネット小売事業と実店舗による小売事業との間の明確な線引きが今後より必要となってくる」とありますが、逆で、インターネットと実店舗の相乗効果を発揮できるようにすることが重要となります。よってこの選択肢は×です。

選択肢イは、冒頭の「同じ顧客であっても、実店舗で購買する場合とインターネット店舗で購買する場合とでは買い物目的は大きく異なる」という点は誤りとは言えないと考えられます。しかし、だからと言って「顧客データ上の扱いとしては別々の個人として認識する方が有効」ということはなく、1人の顧客として情報を収集し、分析した方が、より効果的です。

選択肢ウはその通りで、特に誤りの箇所はなさそうです。
ちなみに、オムニチャネルとは店舗やインターネット、SNSなど複数のチャネルが互いに連携して消費者の利便性を向上させることを目的としたチャネル戦略のことをいいます。

選択肢エは、インターネット店舗での購買の方がより負担を少なく感じる顧客もいますが、冒頭の文章を見てみると、Y氏の取り扱っている商品は、「国内外の生産者への特別発注で仕入れたカジュアル衣料品と雑貨」とあります。
このような商品は、実店舗で実物を見て購入したいという顧客も一定数いる商品ですので、必ずしもすべての顧客がインターネット店舗での購買を好むとは限りません。
よってこの選択肢は×と考えられます。

以上から設問2の正解は選択肢ウです。

 

 

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