【過去問解説(企業経営理論)】R2 第3問 競争戦略(ポーター)

今日は企業経営理論R2第3問について解説します。

R2 企業経営理論 第3問

「業界の構造分析」の枠組みに基づいて考えられる、売り手(サプライヤー)と買い手(顧客)との間での交渉力に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 新たな企業が売り手として参入できる場合には、新規参入が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。
イ ある売り手が供給する製品と他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。
ウ ある売り手が供給する製品を買い手が他社の競合製品に切り換える際に、買い手がその製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、買い手に対する売り手の交渉力は低下する。
エ 売り手が前方統合できる場合には、前方統合が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。
オ 売り手側のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、買い手に対する売り手の交渉力は高くなる。

解説

選択肢アは、新たな企業が売り手として参入できるということは、買い手から見ると、選べる相手が増えるということなので、買い手の交渉力は低下するのではなく、高まります。
よってこの選択肢は×と判断できます。

選択肢イは、他社の競合製品との互換性が高い場合、買い手から見ると、簡単に購入先を乗り換えられるということなので、買い手の交渉力は低下せずに高まります。
よってこの選択肢は×と判断できます。

選択肢ウは、選択肢イとは逆に他社に乗り換えるのに、使い方を学びなおすなど手間がかかる場合は、買い手はその手間を掛けたくないと思うため、売り手の交渉力は低下せずに高まります。
よってこの選択肢は×と判断できます。

選択肢エはその通りで、売り手が前方統合できる、つまり原料や材料まで押さえられるようになると、売り手の相対的な力は強まり、売り手に対する買い手の交渉力は低下します。

念のため選択肢オも確認してみましょう。

選択肢オのハーフィンダール指数とは、経済で学習された方もいるかもしれませんが、市場の占有度合いを表す指数で、ハーフィンダール指数がゼロに近づくということは、市場の占有度合いが低くなるということです。
市場の占有度合いが低くなると買い手に対する売り手の交渉力は低下します。
よってこの選択肢は×と判断できます。

以上から、正解は選択肢エとなります。

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2件のフィードバック

    1. ご質問ありがとうございます。
      顧客側、原料側どちらを川の上流と捉えるかというのが業界によって認識が分かれる場合があります。
      ちなみに中小企業白書だとサプライチェーンの上、つまり原料や材料を供給する企業を川上企業と呼んでいます。
      今回はそれに合わせて川上企業としていますが、この解説では川上とはどちらなのかというところで悩んでほしくないので、
      川上→原料や材料
      という感じで修正いたします。

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