【過去問解説(企業経営理論)】R2 第4問 競争戦略

今日は企業経営理論のR2第4問について解説します。

R2 企業経営理論 第4問

 企業の競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア PIMS(Profit Impact of Market Strategy)プログラムでは、市場シェアの追求と知覚される相対的な品質の追求は両立できないことが、明らかにされている。
イ 経験効果における習熟度は業界の特性に関わらず一定であるために、累積生産量の増加に伴う単位当たり費用の変化は、いかなる業界においても同様の習熟度を係数とする式で示される。
ウ 経験効果を利用したコスト・リーダーシップを追求する場合には、競合企業よりも多くの累積生産量を達成するために、できるだけ早い時点で参入することが有効な方策となる。
エ 製品差別化が有効である場合には、価格が上昇しても、競合する製品への乗り換えが生じにくいことから、需要の交差弾力性は高い。
オ 範囲の経済は、多角化を進める要因であることから、特定の事業においてコスト・リーダーシップを追求する上では、影響をもたらさない。

解説

企業の競争優位に関する問題です。

それでは早速各選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、「両立できないことが、明らかにされている」とありますが、PIMSプログラムでは市場シェアと知覚される相対的な品質の2つが収益性の向上に貢献する主要因であり、この2つは連動したものであるとしています。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イは、「いかなる業界においても同様の習熟度を係数とする」とありますが、経験(曲線)効果とは累積生産量の増加に伴い製造方法などに習熟し単位当たりの生産コストが低下することであり、業界の特性が異なる場合は習熟度も異なることになります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウは、経験効果を利用したコスト・リーダーシップを追求する場合は、競合企業よりも多くの累積生産量を達成する必要があり、できるだけ早い時点で参入することで操業期間を長くすることは有効な方策といえます。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢エは、「需要の交差弾力性は高い」とありますが、交差弾力性とはある財Aの価格が変化したとき、その変化が他の財Bの需要量へどれだけ影響を与えるかを表したものであり、製品差別化が有効な場合には、価格が上昇しても競合製品への乗り換えが生じにくいことから、需要の交差弾力性は低くなります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オは、「影響をもたらさない」とありますが、範囲の経済とは複数の事業で経営資源を多重利用することで費用を低減できることであり、多角化を進めることで大きな効果が得られるのであれば、特定の事業においてコスト・リーダーシップを追求するかを考えることに影響をもたらすことになります。
よって、この選択肢は×です。

以上から正解は選択肢ウとなります。

 

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