今日は、企業経営理論 R5(再試)第28問について解説します。
ブランドに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 既存ブランドの下で、分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張と呼び、流通側から見た場合にはさまざまなメリットがある。しかしメーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀損(きそん)するリスクがある一方で、メリットは特にない。
イ 自社ブランドが消費者から見てユニークな価値を有するようにすることを、ブランドのポジショニングという。自社ブランドを競合ブランドから差別化することは、ブランドのポジショニングには含まれない。
ウ 製品カテゴリーなどを提示し、当該カテゴリー内で思いつくすべてのブランドを書き出してもらう調査により、ブランドの純粋想起について調べることができる。これに対して、あらかじめブランド名を列挙して回答者に提示し、その中で知っているものをすべて選択し回答してもらう調査は精度が低いため、得られる結果の信頼性も低い。
エ ブランドとは消費者の記憶に明確に保持されている最終製品の名称を指す。製品の中に使用されている部品や素材などにも名称が付けられていることがあるが、これらはブランドではない。
オ ブランドにはナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)がある。PB は大手小売業などの流通業者が開発し販売するものであるため、ある製品カテゴリーの売上げが一定であるとすれば、PB の売上げが増えるほど NB を
展開するメーカーの売上げは減少しやすくなる。しかし、NB メーカーが OEMの形で PB の製造などに関わっている場合は、その限りではない。
解説
ブランドに関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:既存ブランドの下で、分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張と呼び、流通側から見た場合にはさまざまなメリットがある。しかしメーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀損するリスクがある一方で、メリットは特にない。
×不適切です。
ブランド拡張は、メーカーにとっても既存ブランドの信頼や知名度を活用することで新製品の導入コストを抑えられる、市場参入障壁を下げられるなどの明確なメリットがあります。
つまり、「メリットは特にない」という記述は誤りです。
よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢イ:自社ブランドが消費者から見てユニークな価値を有するようにすることを、ブランドのポジショニングという。自社ブランドを競合ブランドから差別化することは、ブランドのポジショニングには含まれない。
×不適切です。
ブランドのポジショニングは、差別化によって競合ブランドとの違いを明確化することです。
つまり、「差別化することは、ブランドのポジショニングには含まれない」という記述は誤りです。
よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢ウ:製品カテゴリーなどを提示し、当該カテゴリー内で思いつくすべてのブランドを書き出してもらう調査により、ブランドの純粋想起について調べることができる。これに対して、あらかじめブランド名を列挙して回答者に提示し、その中で知っているものをすべて選択し回答してもらう調査は精度が低いため、得られる結果の信頼性も低い。
×不適切です。
純粋想起は無提示法で調査されますが、提示法(助成想起)は認知度調査などで高い精度と信頼性を持つ手法として有効です。
つまり、「結果の信頼性も低い」という記述は誤りです。
よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢エ:ブランドとは消費者の記憶に明確に保持されている最終製品の名称を指す。製品の中に使用されている部品や素材などにも名称が付けられていることがあるが、これらはブランドではない。
×不適切です。
ブランドには、最終製品だけでなく、部品や素材も含まれます。
例として、部品であればIntel Insideや素材であればGORE-TEXなどがあげられ、消費者にとって価値ある名称であればブランドとされます。
つまり、「製品の中に使用されている部品や素材はブランドではない」という記述は誤りです。
よってこの選択肢は×不適切です。
選択肢オ:ブランドにはナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)がある。PBは大手小売業などの流通業者が開発し販売するものであるため、ある製品カテゴリーの売上げが一定であるとすれば、PBの売上げが増えるほどNBを展開するメーカーの売上げは減少しやすくなる。しかし、NBメーカーがOEMの形でPBの製造などに関わっている場合は、その限りではない。
〇適切です。
PBとNBは市場で競合するため、PBの伸長はNBのシェア減少につながる傾向があります。ただし、NBメーカーがPBのOEM生産を行っていれば、PBの販売がNBメーカーの収益にもつながるため、この限りではないとする記述は妥当です。
よって、この選択肢は〇適切です。
以上から正解は
選択肢オです。
◆ブログ村参加しています◆
気に入っていただけたら、クリックお願いします!
関連教材で学習効率アップ!