【過去問解説(経営法務)】H28 第14問 債務不履行

今日は経営法務のH28第14問について解説します。

H28 経営法務 第14問

債務者による詐害的な行為に対する債権者からの権利行使に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 債務者が債権者を害することを知ってした5年前の法律行為を債権者が知ってから2年が経過するまでは、債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起することができる。
イ 債務者が第三者に対して有する債権をもって債権者の一部の者に代物弁済した場合、代物弁済に供した債権額が消滅した債務額を超過していなければ、他の債権者に対して詐害行為とはならない。
ウ 詐害行為によって譲渡された不動産が受益者から転得者へ譲渡され、詐害行為について受益者は悪意であるが転得者は善意である場合、債権者は詐害行為取消権を行使することができない。
エ 新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者を害することを知って新設分割をした場合、当該債権者は、その新設分割設立株式会社に対し、承継しなかった財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できる。

解説

詐害行為取消権に関する問題です。

それでは早速各選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、詐害行為取消請求は債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年間行使しないとき、また行為の時から10年を経過したとき(令和2年4月の民法改正で20年から10年に短縮)、権利を行使することができなくなります。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢イは、原則として債権者の一部の者に代物弁済することは詐害行為とはなりませんが、特定の債権者と通謀し、他の債権者を害する意思をもって行った場合は、詐害行為となり得ます。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウは、詐害行為取消請求は受益者または転得者がその行為または転得の時において、債権者を害することを知らなかったときは、行使することができません。受益者は悪意であるが転得者は善意である場合、受益者に対して不動産の代わりとなる金銭等を請求できる可能性があり得ます。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エは、新設会社に承継されない債務の債権者を害することを知って新設分割をした場合、当該債権者はその新設会社に対し「承継した」財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができます。
よって、この選択肢は×です。

以上から正解は選択肢アとなります。

 

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