【過去問解説(経営法務)】H29 第6問 産業財産権(特許権)

今日は経営法務のH29第6問について解説します。

H29 経営法務 第6

以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
甲 氏:「ある会社が有している知的財産権、具体的には、特許権、特許を受ける権利、商標権、著作権の譲渡を受けたいと考えているのですが、分割移転は可能でしょうか。」
あなた:「分割移転について、まず、特許権を請求項ごとに分割して移転することは[ A ]。次に、商標権を指定商品又は指定役務ごとに分割して移転することは[ B ]。」
甲 氏:「知的財産権を移転するためには、登録が必要だと聞いたことがあるのですが、その手続はどうすればいいのでしょうか。」
あなた:「特許権、特許を受ける権利、商標権の移転登録は特許庁が、著作権の移転登録は文化庁が扱っています。もっとも、それらの中には、移転登録が効力発生要件となっているものと、対抗要件となっているものがありますので、注意が必要です。具体的には、[ C ]については効力発生要件となっています。」

(設問1)
会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
ア A:できます B:できます
イ A:できます B:できません
ウ A:できません B:できます
エ A:できません B:できません

(設問2)
会話の中の空欄Cに入る語句として、最も適切なものはどれか。
ア 特許権及び商標権
イ 特許権、特許出願後の特許を受ける権利及び商標権
ウ 特許権、特許出願前の特許を受ける権利及び商標権
エ 特許権、特許出願前の特許を受ける権利、特許出願後の特許を受ける権利及び商標権

解説

特許権に関する空欄穴埋め問題です。

それでは早速各設問を見ていきましょう。

(設問1)

空欄A、Bについてそれぞれ考えていきます。

まず、空欄Aについて見ていきます。
これは知っているか知らないかになりますが、特許権は請求項ごとに分割して請求することはできません。
よって、空欄Aには「できません」が入ります。

次に、空欄Bについて見ていきます。
商標に関しては、指定商品や指定役務が複数あるときは、分割して移転することができます。
よって、空欄Bには「できます」が入ります。

以上から、正解は選択肢ウとなります。

(設問2)

設問2では空欄Cについて考えていきます。

どの権利が移転登録が効力発生要件になっているのか、対抗要件になっているのかが問われています。

ちなみに、効力発生要件とは、ある法律行為が効力を発生するために満たす必要がある要件のことをいいます。
例えば、登録することで○○権が効力を発生するという場合は、登録は○○権の効力発生要件である、ということができます。

また、対抗要件とは第三者に対して「これは自分の権利だ」と主張するために必要な要件のことをいいます。
例えば、登録すると第三者に対して「これは自分の権利だ」と主張することができる場合は、登録は○○権の対抗要件である、ということができます。

登録することが効力発生要件になるのは、選択肢アの「特許権及び商標権」となります。

以上から正解は選択肢アとなります。

ちなみに、この問題は当初協会から発表された解答は「イ」で、発表された解答が間違えていました。
当時それでいろいろと物議を醸し、結局この問題は全員正解扱いになりました。

 

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