【過去問解説(経営法務)】H30 第1問 持分会社(合同会社)

今日は経営法務H30第1問の持分会社(合同会社)に関する問題について解説します。

経営法務H30第1問

合同会社は、当事者間で最適な利害状況を自由に設定することを可能とすることによって、事業の円滑な実施を図り、法規制による保護ではなく、利害関係者の自己責任による問題解決に委ねるという会社類型である。
株式会社と合同会社を比較した記述として、最も適切なものはどれか。

ア 株式会社の株主は、会社債権者に対して間接有限責任しか負わないが、合同会社の社員は、会社債権者に対して直接無限責任を負う。

イ 株式会社の場合には、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことはできないが、合同会社の場合には、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことができる。

ウ 株式会社の場合にも、合同会社の場合にも、純資産額が 300 万円以上でなければ、配当を行うことができない。

エ 株式会社の場合にも、合同会社の場合にも、貸借対照表を公告しなければならない。

 

解説

合同会社とは日本版LLCともいわれ、有限責任社員からなる持分会社です。有限責任社員のみで構成される点が株式会社と似ています。
それでは選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、直接無限責任という点が誤りです。合同会社の社員は間接有限責任社員で構成されます。
よって、この選択肢は誤りです。

選択肢イは出資に関する説明です。株式会社は出資された金額は原則として資本金に計上しなければなりません(会社法第445条)。ただし、その2分の1を超えない額で資本金として計上せず、資本準備金として計上することができます。ゆえに、出資により資金調達を行うと資本金は増加します。一方で、合同会社にはこのような規定は無く、資本金の計上は自由に決定でき、計上しない額は資本剰余金として計上します。
よって、選択肢イが正解となります。

念のため、他の選択肢も確認しておきましょう。

選択肢ウは配当に関する説明です。株式会社では純資産300万円を下回る場合は配当が出来ませんが(会社法第458条)、合同会社にはこのような規定はありません。
よって、この選択肢は誤りです。

選択肢エについては、株式会社は決算公告の義務がありますが(会社法第440条)、合同会社にはありません。
よって、この選択肢は誤りです。

以上より、選択肢イが正解となります。

 

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