【過去問解説(経済学)】H30第15問 課税の効果

今回は第15問の課税の効果の問題を解説します。

この問題は基本的な問題ですのでぜひ得点したいものです。

 

H30 経済学 第15問

消費税の課税については、価格、取引量の変化や税収の金額に加えて、実際に税金を負担するのは誰かという問題も重要となる。下図では、供給の価格弾力性が無限大である場合を考える。ここで、生産物 1 単位当たり T 円の課税を行うと、供給曲線 S0 は新しい供給曲線 S1 へとシフトする。また、需要曲線は D である。
この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 消費税の課税により、市場価格は P0 から P1 に上昇し、取引量は Q0 から Q1に減少する。
b 消費税の課税を行うと、消費者余剰は△AEP0 から、△EFG の分だけ減少する。
c 消費税の課税を行うと、税負担の一部が生産者に転嫁される。
d 消費税の課税により、政府に入る税収は、□P1FGP0 である。

〔解答群〕
ア aとb
イ aとc
ウ aとd
エ bとc
オ cとd

それではa~dそれぞれの記述を見ていきましょう。

aは、課税により市場価格は上昇し、取引量は減少するので○です。

bは、消費税の課税を行うと、消費者余剰は△AEP0から△AFP1となり、消費者余剰は△EFGでなく△EFP1P0だけ減少します。そのためこの記述は×です。

cは、供給の価格弾力性が無限大で供給曲線が水平になった場合という極端なケースについて問われています。
以前、H29第11問の解説でも説明しましたが、水平の場合がどうなるかわからない、もしくは知らない、というような場合、まずは下の図のように傾きが急な曲線の場合で考えてみるというのも一つの方法です。

課税額は図の場合だと需要曲線と供給曲線の交点を通る赤い平行四辺形の面積となります。

そして、そのうち上の緑の枠の部分が消費者の負担額、下の青の枠の部分が生産者の負担分です。
このグラフがさらにゆるやかになった場合、緑の枠の消費者の負担額は増え、青の枠の生産者の負担額は減ります。

さらに傾きが緩やかになって、供給曲線が水平になると青の枠は消え、消費者の負担だけになります。

 

以上から、税負担の一部が生産者に転嫁されるという記述cは×といえます。

 

dは、政府に入る税収は記述の通り□P1FGP0なので○です。

 

以上から正解は選択肢ウとなります。

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