【過去問解説(経済学)】H30第8問 AD-AS分析

今回は第8問のAD-AS分析の問題を解説します。

この問題も基本的な問題ですのでぜひ得点したいものです。

 

H30 経済学 第8問

下図は、総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)を描いている。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

 

(設問 1)
総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)の傾きに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 物価の上昇に伴う実質貨幣供給の減少は、実質利子率の上昇による実質投資支出の減少を通じて総需要を縮小させる。ここから、AD は右下がりになる。
b 物価の上昇に伴う実質貨幣供給の増加は、実質利子率の低下による実質投資支出の減少を通じて総需要を縮小させる。ここから、AD は右下がりになる。
c 物価の上昇に伴う実質賃金率の低下は、労働需要の増加による生産量の増加を通じて総供給を拡大させる。ここから、AS は右上がりになる。
d 物価の上昇に伴う実質賃金率の上昇は、労働需要の縮小による生産量の増加を通じて総供給を拡大させる。ここから、AS は右上がりになる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

(設問 2) 総需要や総供給の変化が実質 GDP に及ぼす影響に関する記述として、最も適切なものはどれか。 

ア 原材料価格の上昇は、AS の左方シフトを通じて実質 GDP を縮小させる。 

イ 名目貨幣供給の増加は、AD の左方シフトを通じて実質 GDP を縮小させる。

ウ 名目賃金率の引き上げは、AD の右方シフトを通じて実質 GDP を拡大させる。

エ 労働人口の増加は、AS の左方シフトを通じて実質 GDP を拡大させる。

 

それでは早速それぞれの設問を見ていきましょう。

(設問1)
まとめシートでは物価が減少した場合で説明しましたが、総需要曲線(AD曲線)が右下がりとなるのは、
物価Pが上がると、実質貨幣供給M/Pは減少→ 実質貨幣供給M/Pが低下すると、グラフは上(=左)にシフトするため利子率は増加→ 利子率が上がると、投資Iが減少→投資Iが減少すると、国民所得Yが減少
するためでした。
そのため、記述aとbでは記述aの方が○です。

また、こちらもまとめシートで説明してありますが、物価が上昇すると、実質賃金は低下するので労働需要は増え、労働供給は減ります。そのため、非自発的失業が解消され、国民所得が上昇するので、AS曲線は右上がりの曲線となります。

以上から記述cとdでは記述cの方が○です。
以上から正解は選択肢アとなります。

(設問2)

まとめシートでも説明したとおり、AD-AS曲線では

・ADは拡張的or緊縮的な金融or財政政策をしたときシフト
・ADの傾きの変化は極端な例(水平or垂直)で考える
・ASは労働力以外の観点から生産性が変化したときシフト(ex技術⾰新、原料・原価高騰)
・物価Pの動きはLM曲線の働き(IS曲線は関係ない)

という点がポイントです。

 

上記を踏まえると、選択肢アの「原材料価格の上昇は、AS の左方シフトを通じて実質 GDP を縮小させる。 」という記述が○ということがわかり、正解は選択肢アとなります。

 

 

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