今日は経済学H27第16問の生産関数に関する問題について解説します。
いま、 Y=K0.5N0.5 という生産関数を考える。ただし、Y は生産量、K は生産における資本投入量、N は生産における労働投入量である。このときの記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a この生産関数において、投入される資本の限界生産力は一定である。
b この生産関数において、投入される資本の限界生産力は逓減している。
c この生産関数では、ある状態から資本投入量と労働投入量をともに2倍にすると、生産量も2倍になる。
d この生産関数では、ある状態から資本投入量と労働投入量をともに2倍にしても、生産量は2倍には及ばない。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
解説
0.5乗というと、数学が苦手な方は息詰まるかもしれませんが、0.5乗は条”√”と同じなので、
Y=K0.5N0.5 =√K√N=√KN となります。
生産関数が分からなくても、数式を解いていけば回答を導くことができます。
ここでは、数式を解きながら説明していきます。
説明文aは資本(K)を1単位あたり増やした場合、生産量(Y)も同じ単位で増加すると説明しています。例えば、資本Kが「1」から「2」(=2倍)に増加する場合を考えてみましょう。
・K=1のとき Y=10.5×N0.5=√N
・K=2のとき Y=20.5×N0.5=√2N
となります。このとき、
√2=1.414…ですから、Kが(=2倍)に増加しても、Yは1.414…倍しか増加しないことになります。
よって、この説明は誤りです。
説明文bは説明文aの考えを少し延長させてみましょう。資本Kを「3」や「4」に増加する場合、以下のようになります。
・K=2のとき Y=30.5×N0.5=√3N ※ √3=1.732…
・K=4のとき Y=40.5×N0.5=√4N=2√N
つまり、以下の通り1単位増加させるごと、生産量Yの1単位当たり増加量が逓減しています。
(※説明の便宜上、平方根の小数点第四位以下は切り捨てています)
よって、この説明は正しいです。
説明文cは、資本(K)、労働量(N)がともに「1」から「2」(=2倍)に増加する場合を考えてみましょう。
・K=1のとき Y=10.5×10.5=√1×1=√1=1
・K=2のとき Y=20.5×20.5=√2×2=√4=2
以上から、資本と労働量がともに2倍にすると、生産量も2倍になります。
よって、この説明は正しいです。
説明文dは説明文cの解説の通り、資本と労働量がともに2倍にすると、生産量も2倍になります。
よって、この説明文は誤りです。
以上より、選択肢ウ(bとc)が正解となります。