【過去問解説(経済学)】R1 第19問 市場の失敗

今日は経済学のR1第19問について解説します。

 

R1 経済学 第19問
情報の非対称性がもたらすモラルハザードに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 雇用主が従業員の働き具合を監視できないために従業員がまじめに働かないとき、この職場にはモラルハザードが生じている。
b 失業給付を増加させることは、失業による従業員の所得低下のリスクを減らすことを通じて、モラルハザードを減らす効果を期待できる。
c 食堂で調理の過程を客に見せることには、料理人が手を抜くリスクを減らすことを通じて、モラルハザードを減らす効果を期待できる。
d 退職金の上乗せによる早期退職の促進が優秀な従業員を先に退職させるとき、この職場にはモラルハザードが生じている。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとc
ウ bとd
エ cとd

解説

今回はモラルハザードに関する問題です。
モラルハザードとは、契約後に情報の非対称性があることにより、契約後に仕事や注意を怠るようになる現象のことをいいます。
例えば、株主が経営者の働きを知ることができないため、経営者が十分な経営努力を怠るといった例や保険会社と被保険者の間でも、保険会社が被保険者の行動を監視できないため、保険に入ったら安心して不摂生な生活を送ってしまうといった例が挙げられます。

それでは各記述を見ていきましょう。

記述aは、「雇用主が従業員の働き具合を監視できないために」とあり、情報の非対称性があることがわかります。これにより、従業員が真面目に働かないということですので、モラルハザードが発生している状態といえます。
よってこの記述は〇です。

記述bは、失業給付を増加させることは、モラルハザードを減らす効果を期待できるとありますが、モラルハザードを減らす効果は特に期待できないので×です。

記述cは、食堂で調理の過程を客に魅せるということは、情報の非対称性を減らす効果があります。そのため、モラルハザードを減らす効果が期待できます。
よってこの記述は〇です。

記述dの「退職金の上乗せによる早期退職の促進が優秀な従業員を先に退職させる」ことは、情報の非対称性があるわけでも、契約後に仕事や注意を怠るわけでもないので、モラルハザードには該当しません。
よってこの記述は×です。

以上から、記述aとcが〇となり、正解は選択肢イとなります。

 

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