今日は、経済学 R7 第18問(2)について解説します。
ある国際的に規格化された財に対する関税の効果を考える。国際市場で Pf の価格が成立している当該財の国内需要曲線は D、国内供給曲線は S である。したがって、貿易を行わない閉鎖経済の下では、Pc の市場価格が成立する。
当初、この国では当該財について自由貿易体制がとられていたが、輸入財 1 単位当たり一定の関税が賦課されたことで、国内価格は Pd に上昇することになった。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問 2 )
自由貿易から関税政策に移行したことの効果に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 輸入量の減少分は、線分 Q1Q2 と線分 Q3Q4 の合計である。
b 消費者余剰は、自由貿易体制の場合に比べて四角形 PdPfIE だけ小さくなる。
c 関税による政府の収入は、四角形 PdPfHE である。
d 関税の導入に伴う厚生上の損失は、四角形 CFIE である。
〔解答群〕
ア a:正 b:正 c:誤 d:正
イ a:正 b:正 c:誤 d:誤
ウ a:正 b:誤 c:正 d:誤
エ a:誤 b:正 c:正 d:誤
オ a:誤 b:誤 c:誤 d:正
解説
自由貿易で発生する余剰分析に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
まず前提を整理します。自由貿易では価格は Pf ですが、関税が課されると国内価格は Pd まで上昇します。
その結果、国内供給は Q1 から Q2 に増え、国内需要は Q4 から Q3 に減少し、輸入量は縮小します。
また、関税収入は政府余剰となる一方で、一部は死荷重として失われます。
自由貿易下における状況は以下の通りです。
関税経済移行後は以下のようになります。
それでは選択肢を見ていきましょう。
→ ✅ 正しいです。
由貿易時の輸入量は、国内需要量 Q4 から国内供給量 Q1 を差し引いた分です。
一方、関税導入後の輸入量は、国内需要量 Q3 から国内供給量 Q2 を差し引いた分になります。
したがって、輸入量の減少分は、国内供給の増加分 Q1Q2 と国内需要の減少分 Q3Q4 の合計で表されます。
よって、この選択肢は〇です。
→ ✅ 正しいです。
自由貿易時の消費者余剰は三角形 APfI ですが、関税導入後は価格上昇により三角形 APdE に縮小します。
このとき減少した部分は、価格上昇分と消費量減少分を合わせた四角形 PdPfIE に相当します。
したがって、記述は適切です。
よって、この選択肢は〇です。
→ ❌ 誤りです。
政府収入となるのは、関税が実際に課される輸入数量の範囲に限られます。
したがって、価格差 PdPf に、関税導入後の輸入量 Q2Q3 を掛けた部分、すなわち四角形 CGHE が政府余剰です。
四角形 PdPfHE には、国内生産の増加分なども含まれてしまうため、政府収入の範囲としては広すぎます。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
関税を導入すると、消費者余剰の一部は生産者余剰や政府収入に移転しますが、一部は誰の利益にもならず失われます。
この厚生上の損失、つまり死荷重は、国内生産の非効率化による三角形 CFG と、消費減少による三角形 EHI の合計です。
したがって、四角形 CFIE 全体が厚生損失になるわけではありません。
よって、この選択肢は×です。
正解は選択肢イとなります。





