【過去問解説(運営管理)】H29 第16問 時間分析

今日は運営管理のH29第16問について解説します。

H29 運営管理 第16問

 ある作業者が第1作業として穴あけ作業、第2作業として曲げ作業を行う金属加工工程において、時間分析とワークサンプリングを実施した。時間分析は正味時間を計測する目的で行われ、下表はその結果を示している。また、ワークサンプリングは余裕率を算定する目的で行われ、延べ500回の計測の中で余裕に該当するサンプルが50個得られた。
この工程で1個の部品を製造するための標準時間(分/個)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕
ア 2.80
イ 2.97
ウ 3.00
エ 3.08

解説

ワークサンプリング法による標準時間の算出に関する問題です。レイティング値からの正味時間の算出、余裕率の算出、正味時間と余裕率から標準時間の算出が問われています。
それでは早速、計算していきましょう。

①正味時間の算出
「表 時間分析の結果」には2つの作業に関する「レイティング前の平均作業時間(分/個)」と「レイティング値」が示されています。レイティング値は、正常な作業者が正常な速度で行う基準となる作業ペースを100とした場合の観測者の作業ペースを表したもので、「基準作業ペース÷観測作業ペース」で計算します。従って、観測者が標準よりも作業スピードが早ければ100よりも大きく、遅ければ100よりも小さくなります。

従って、正味時間は「レイティング前の平均作業時間 × レイティング値(%)」で計算できますので、第1作業:穴あけ作業と第2作業:曲げ作業の正味時間はそれぞれ以下の通りとなります。
第1作業:穴あけ作業 1.2 × 1.1 = 1.32(分/個)
第2作業:曲げ作業  1.5 × 0.8 = 1.2(分/個)

②余裕率の計算
設問文中に「延べ500回の計測の中で余裕に該当するサンプルが50個得られた」とありますので、余裕率(内掛け法)は以下の通りとなります。
余裕率 = 余裕のサンプル数 ÷ 全体のサンプル数 = 50 ÷ 500 = 0.1

③標準時間の設定
内掛け法の場合、標準時間は以下の式で計算できます。
標準時間 = 正味時間 ÷ ( 1 – 余裕率 )
これに①、②で計算した値を代入して標準時間を計算すると以下の通りとなります。
標準時間 = ( 1.32 + 1.2 ) ÷ ( 1 – 0.1) = 2.52 ÷ 0.9 = 2.8(分/個)

以上から、正解は選択肢アとなります。

 

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