今日は、R7 企業経営理論 第7問について解説します。
R7 企業経営理論 第7問
ある業界では、次のような特徴が見られる。
・新規参入には、大規模な設備や高度な専門技術が必要で、初期投資も多額になる。また、業界の参入規制に従うための許可取得にも時間を要する。
・撤退する際は、当該設備を他業界に転用でき、契約の解消もスムーズに進むため、撤退時の負担は比較的小さい。
「業界の構造分析」の考え方に従った場合、この業界における競争の特質に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 参入障壁が高く、撤退障壁が低い業界であるため、新規参入は控えられる一 方、低業績の企業は撤退しやすくなることから、業界の収益性は高くなりやすい。
イ 参入障壁も撤退障壁も低いため、不採算企業が市場に残りやすく、業界の競争が激化して業界の収益性は低下しやすくなる。
ウ 新規参入が制限されるとともに、競争力の低い企業が撤退しやすくなることか ら、市場の集中度は低下し、業界の競争は緩やかになりやすい。
エ 新規参入は慎重に行われるものの、撤退コストが低いため、多くの企業は業界にとどまり続け、結果として業界の競争は激しくなりやすい。
オ 撤退が容易であるため、新規参入に対する動機は高まり、結果として、業界の競争の激化と収益性の低下が長期的に進みやすい。
選択肢ア:参入障壁が高く、撤退障壁が低い業界であるため、新規参入は控えられる一 方、低業績の企業は撤退しやすくなることから、業界の収益性は高くなりやすい。
→ ✅ 正しいです。
→ ✅ 正しいです。
- 参入障壁が高いため、新しい競合が入りにくい → 供給過剰になりにくい。
撤退障壁が低いため、赤字企業は早めに退出 → 過当競争が長引かない。
結果として、残った企業の収益性は安定しやすい。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢イ:参入障壁も撤退障壁も低いため、不採算企業が市場に残りやすく、業界の競争が激化して業界の収益性は低下しやすくなる。
→ ❌ 誤りです。
→ ❌ 誤りです。
- 本問の設定では 参入障壁は高いので前提が間違っています。加えて、撤退障壁が低いなら不採算企業は市場から出やすいので、「残りやすい」という記述も逆です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:新規参入が制限されるとともに、競争力の低い企業が撤退しやすくなることか ら、市場の集中度は低下し、業界の競争は緩やかになりやすい。
→ ❌ 誤りです。
→ ❌ 誤りです。
- 撤退が進むと、むしろ残存企業のシェアが集中して 市場集中度は高まる のが自然。「集中度が低下する」という部分が誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:新規参入は慎重に行われるものの、撤退コストが低いため、多くの企業は業界にとどまり続け、結果として業界の競争は激しくなりやすい。
→ ❌ 誤りです。
→ ❌ 誤りです。
- 撤退コストが低いなら「とどまり続ける」ではなく「撤退しやすい」が正しい。この記述は撤退障壁が高い業界の特徴と逆になっています。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オ:撤退が容易であるため、新規参入に対する動機は高まり、結果として、業界の競争の激化と収益性の低下が長期的に進みやすい。
→ ❌ 誤りです。
→ ❌ 誤りです。
- 撤退障壁が低いからといって参入動機が高まるわけではありません。参入動機を決めるのは「参入障壁」であり、この業界では 参入障壁が高いので簡単には入れません。前提が誤りです。
よって、この選択肢は×です。
✅ 以上から、正解は選択肢アとなります。
◆ブログ村参加しています◆
気に入っていただけたら、クリックお願いします!
関連教材で学習効率アップ!