【過去問解説(法務)】H27 第11問(設問1,2) 商標権

今回は、H27年経営法務の第11問(設問1,2)の商標権の問題について解説します。

H27 第11問(設問1,2)

中小企業診断士のあなたと顧客の経営者X氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、実在するキャラクターや特産品を考慮する必要はない。
X氏:「当社の本社はC県のAB市にあり、私は地元の経済団体の役職にも就いているのですが、最近、AB市で盛り上がっているのが、AB市内の漁港で水揚げされた海老のすり身を煎
餅(せんべい)の生地に練り込んで焼いた特産品『ABせんべい』をもっと全国的に売り出そうという企画なんです。確か、地域の特産品の名称を保護するような商標がありましたよね。」
あなた:「地域団体商標のことですか。正確なことは専門家に聞いた方がいいと思いますが、地域団体商標が認められるには、結構要件が厳しかったはずですよ。権利の主体は、事業協同組合等のほか、平成26年に施行された法改正で新たにNPO法人や[ ① ]等にも広げられました。しかし、
『ABせんべい』という名称を使用しているだけでは難しくて、例えば『ああ、あの AB 市特産の、海老を原材料にした煎餅だなjと消費者や事業者
が広く認識する程度の周知性が必要です。」
X氏:「地域的にどの程度まで周知ならいいのですか。」
あなた:「一般的には、[ ② ]に及ぶ程度の周知性が必要とされています。」
X氏:「なるほど、そう簡単なわけでもなさそうですね。実は、AB市の公募で採用された『ABせん兵衛(べえ)くん』という、いわゆるゆるキャラが『ABせんべい』の知名度向上に一役買っているのですが、最近、地元のイベントで『ABせん兵衛(べえ)くん』の偽物が現れましてね。よく似た着ぐるみを着て、『海老みそブシューッ!』と叫びながらエビ反りになってのたうち回るなんてギャグをやったりして、子供にはうけますが、下品だと言って嫌う人もいます。こういったゆるキャラの権利を知的財産で守るような法的手段はないのでしょうか。」
あなた:「キャラクターのデザインや絵柄の創作を保護するなら、やはり[ ③ ]で守るというのが最も素直でしょう。広告宣伝用であれば、平面だけでなく立体的な構成も[ ④ ]、あるいは[ ⑤ ]で保護が可能ですが、広告宣伝の対象となる商品やサービスを特定する必要がありますし、[ ④ ]は登録の手続が、[ ⑤ ]は権利行使のために周知性の立証が必要です。また、ぬいぐるみの量産品であれば[ ⑥ ]で保護される可能性も出てきますが、一方でそのような物品が[ ③ ]による保護の対象になるか、という問題も出てきます。結局、場面に応じた個別的な法的保護の組み合わせでキャラクターの利益を守るしかないのが現状です。」
(設問1)
会話の中の空欄①と②に入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
ア ①:一般社団法人 ②:全国
イ ①:商工会議所 ②:隣接都道府県
ウ ①:中小企業団体中央会 ②:近隣市町村
エ ①:公益社団法人 ②:全国8地方区分の同一区分

(設問2)
会話の中の空欄③〜⑥に入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
ア ③:商品化権 ④:不正競争防止法 ⑤:商標権 ⑥:意匠権
イ ③:著作権 ④:商標権 ⑤:景品表示法 ⑥:パブリシティ権
ウ ③:著作権 ④:商標権 ⑤:不正競争防止法 ⑥:意匠権
エ ③:意匠権 ④:不正競争防止法 ⑤:商標権 ⑥:著作権

解説

今回の問題は、最近あまり見かけなくなったふ〇っしーをほうふつとさせる問題です。

経営法務は時々、このような流行ネタを盛り込んだ問題が出題されることがあります。

 

それでは早速各設問を見ていきましょう。

【設問1】
空欄①、②は、地域団体商標についてです。

地域団体商標は、商工会や商工会議所、NPOも出願OKで、知名度は周知性がある(隣接都道府県に知られている程度)必要があります。

そのため空欄①には商工会議所が、空欄②には隣接都道府県が入り、正解は選択肢イとなります。

 

【設問2】
それでは早速各空欄を見ていきましょう。
まず「キャラクターのデザインや絵柄の創作を保護するなら、やはり[ ③ ]で守るというのが最も素直でしょう。」とあります。
この表現では若干あいまいなので、とりあえず先に読み進めてみます。
次に④、⑤については以下のように書いてあります。
「広告宣伝用であれば、平面だけでなく立体的な構成も[ ④ ]、あるいは[ ⑤ ]で保護が可能ですが、広告宣伝の対象となる商品やサービスを特定する必要がありますし、[ ④ ]は登録の手続が、[ ⑤ ]は権利行使のために周知性の立証が必要です。」

立体的な構成が保護されるものとして選択肢には不正競争防止法、商標権、景品表示法の3種類が並んでいますが、そのうち景品表示法は立体的な構成を保護するものではないので確実に×です。
これで選択肢イが削られます。

また、残る不正競争防止法と商標権のうち、登録の手続きが必要なのは商標権ですので④が商標権で⑤が不正競争防止法と考えることができます。

④が商標権で⑤が不正競争防止法なのは選択肢ウですから、ここで正解を選択肢ウに絞ることができます。

念のため空欄③と空欄⑥を確認すると、空欄③は著作権、空欄⑥は意匠権で問題なさそうです。

以上から正解は選択肢ウとなります。

 

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