【過去問解説(経済学・経済政策)】R5(再試) 第10問(1)  AD-AS分析

今日は、経済学・経済政策 R5(再試) 第10問(1)について解説します。

経済学・経済政策 R5 (再試)第10問(1)

 

解説

AD-AS分析に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

・ケインズ学派の考え⽅:ケインズ学派は、名⽬賃⾦は下⽅硬直性を持つという考え⽅をとるため、労働市場にはその賃⾦で働きたくても働き先がない⾮⾃発的失業が発⽣すると考えます。つまり、物価⽔準Pが下がると実質賃⾦W/Pは上昇しますが、Wは⼀定なので、労働⼒の需給に差が⽣じ需給は均衡しないと考えます。なお、名⽬賃⾦は上⽅には硬直性を持っていませんので、W*/P*より下のエリアでは需給は均衡します。そのため、P*よりも物価⽔準が上昇した場合は古典派と同じく垂直のグラフとなります。逆に、P*よりも物価⽔準が下落した場合は⾮⾃発的失業が存在します。P*よりも物価⽔準が下のエリアでは、物価が上昇すると、W/Pが低下しますので労働需要は増え、労働供給は減ります。そのため、⾮⾃発的失業が解消されて国⺠所得が上昇するので、AS曲線は右上がりの曲線となります。 AS曲線とAD曲線の交点Y*の値は、AS曲線が垂直のエリアでは、古典派の理論と同様に⾦融政策・財政政策は国⺠所得Y*に影響を与えませんが、AS曲線が斜めになっているエリアでは、⾦融政策・財政政策によりAD曲線が右にシフトすると国⺠所得Y*が増加するため、意義があるといえます。

・AD-AS分析は財市場、貨幣市場、労働市場の3市場について分析を⾏うため、複雑に思えるかもしれません。理解が難しい場合は、まずは以下のポイントについてだけ覚えておきましょう。

 AD曲線は⾦融政策または財政政策を⾏ったときにシフトする:拡張的な政策を取ると右に、緊縮的な政策を取ると左にシフトします。
 AD曲線の傾きの変化は極端な例で考える:AD曲線の傾きの変化について問われた場合、AD曲線が⽔平もしくは垂直ならどうか、という極端な例だと考えやすいです。
 AS曲線は労働⼒以外の観点から⽣産性が変化したときシフトする:AS曲線は技術⾰新のように⽣産性が上がったときは右に、原料や原価の⾼騰のように⽣産性が下がったときには左にシフトします。
 物価⽔準Pの動きはLM曲線の働き:物価⽔準Pの動きを検討する場合、IS曲線の動きは関係ありません。

 

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:b,cが誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:bが誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:cが誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢オ:aが誤りです。
よって、この選択肢は×です。

以上から、正解は選択肢エとなります。

 

 

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