【過去問解説(経済学)】R3 第4問 一時金の経済効果

今日は経済学のR3第4問について解説します。

R3 経済学 第4問

コロナ禍で落ち込んだ経済を支えるための対策のひとつに、個人や世帯に対する 一時金の給付がある。この一時金の経済効果に関する記述として、最も適切な組み 合わせを下記の解答群から選べ。

a 恒常所得仮説によれば、今期の消費は今期の所得によって決定される。従っ て、緊急事態宣言の発出によって飲食店の営業を停止しても、一時金の給付に よって巣ごもり消費が喚起され、経済全体の消費は増加すると考えられる。

b 絶対所得仮説によれば、生涯の所得が生涯の消費を決定する。従って、一時金 の給付が将来の増税を予想させるとしても、新しい生活様式への対応を通じて、 経済全体の消費は増加すると考えられる。

c 低所得者ほど限界消費性向が高い傾向にあるとすれば、一時金の給付対象に所 得制限を設けることは、より効果的に消費を支えると考えられる。

d 不要不急の財に関する需要の所得弾力性が高い傾向にあるとすれば、一時金の 給付が消費を増やす効果は、不要不急の消費ほど大きくなると考えられる。

〔解答群〕

ア aとb
イ aとbとc
ウ bとc
エ bとcとd
オ cとd

解説

マクロ経済学の一時金の経済効果に関する問題です。

それでは、早速各記述をみていきましょう。

記述aの主題である「恒常所得仮説」はM.フリードマンが提唱した「家計の消費は、恒常所得によって決められる」という仮説です。また、「恒常所得」は給料や賃金といった恒常的に入手が予想される所得です。そのため、一時金の給付は「一時所得」が増加することになり、「恒常所得」には影響を及ぼさないため、経済全体の消費は増えません。
よって、この記述は×です。

記述bの主題である「絶対所得仮説」はケインズの消費関数に関する仮説で、消費の決定要因が現在の所得にのみ依存するという仮説に立っています。生涯の所得が生涯の消費を決定するという記述が不適切です。なお、生涯の所得が生涯の消費を決定するという考え方は「ライフサイクル仮説」に基づく考え方です。
よって、この記述は×です。

記述cの「低所得者ほど限界消費性向が高い」ということは低所得者の所得が増えれば消費がより増えるということです。一時金の給付対象に所得制限を設けることで、所得に対する消費の割合が多い低所得者に一時金が給付されるようになり、その結果、全体の消費が多くなり、消費を支える効果があります。
よって、この記述は〇です。

記述dの「不要不急の財に関する需要の所得弾力性が高い傾向」は所得が増えたときに需要がより多く増加するということです。一時金の給付によって所得が増えるので不要不急の消費がより多く増加するようになります。
よって、この選択肢は〇です。

以上から記述cとdが正しく、正解は選択肢オとなります。

 

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