【過去問解説(経済学・経済政策)】R8 第25問 ゲーム理論 #中小企業診断士試験

今日は、 経済学・経済政策 R8年度 第25問について解説します。

経済学・経済政策 R8年度 第25問

 A国とB国が相互に貿易を行う状況を想定し、両国政府の政策選択を戦略とするゲームについて考える。以下の表は、両国政府が採用する政策の組み合わせに応じた各国の利得(国民の経済厚生)を示したものである。カッコ内の左側がA国の利得、右側がB国の利得を示す。
このゲームに関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 両国がともに保護貿易を採用した状態からA国のみが自由貿易を採用した状態への変化は、パレート改善である。
b 両国がともに自由貿易を採用した状態からB国のみが保護貿易を採用した状態へ変化すると、A国の利得が減少する。
c 両国がともに保護貿易を採用した状態から両国がともに自由貿易を採用した状態への変化は、パレート改善である。
d ナッシュ均衡は、両国がともに自由貿易を採用した状態である。

〔解答群〕
ア a:正  b:正  c:正  d:誤
イ a:正  b:誤  c:誤  d:誤
ウ a:誤  b:正  c:正  d:正
エ a:誤  b:正  c:正  d:誤
オ a:誤  b:誤  c:正  d:誤

 

解説

ゲーム理論に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

それでは選択肢を見ていきましょう。

a:両国がともに保護貿易を採用した状態からA国のみが自由貿易を採用した状態への変化は、パレート改善である。
→ ❌ 誤りです。
パレート改善とは、他の誰かの利得を低下させずに、少なくとも1人の利得を増やすことです。
両国がともに保護貿易を採用した状態(20、20)から、A国のみが自由貿易を採用した状態(10、80)への変化は、B国の利得を増やすものの、A国の利得を低下させてしまうため、パレート改善とはいえません。
よって、aは×です。

b:両国がともに自由貿易を採用した状態からB国のみが保護貿易を採用した状態へ変化すると、A国の利得が減少する。
→ ✅ 正しいです。
A国の利得をみると、両国がともに自由貿易を採用した状態では60、A国が自由貿易を採用しB国が保護貿易を採用した状態では10となるため、A国の利得は減少します。
よって、bは〇です。
c:両国がともに保護貿易を採用した状態から両国がともに自由貿易を採用した状態への変化は、パレート改善である。
→ ✅ 正しいです。
両国がともに保護貿易を採用した状態(20、20)から、両国がともに自由貿易を採用した状態(60、60)への変化は、誰かの利得を減らすことなく、A国とB国の利得を増やしているため、パレート改善に該当します。
よって、cは〇です。
d:ナッシュ均衡は、両国がともに自由貿易を採用した状態である。
→ ❌ 誤りです。
ナッシュ均衡とは、どの参加者も自分が戦略を変更するだけでは、より高い利得を得ることができない状態のことです。
両国がともに自由貿易を採用した状態(60、60)から、A国が自分だけ保護貿易に変更した場合、A国の利得は70になり、より高い利得を得ることができます。また同様に、B国が自分だけ保護貿易に変更した場合、B国の利得は80になり、より高い利得を得ることができます。したがって、ナッシュ均衡とはいえません。
なお、両国がともに保護貿易を採用している場合、A国、B国ともに、自分だけが自由貿易に変更するだけでは利得を得ることができません。この問題のナッシュ均衡は、両国がともに保護貿易を採用した状態です。
よって、dは×です。
以上から、正解は選択肢エとなります。

 

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