【過去問解説(法務)】H30 第9問 特許の実施

今日は、経営法務のH30 第9問について解説します。

経営法務 H30 第9問

特許発明の「実施」として、最も不適切なものはどれか。

ア 特許発明がレンズの生産方法であって、同特許発明の技術的範囲に属する方法を使用してレンズを製造する行為。
イ 特許発明がレンズの生産方法であって、同特許発明の技術的範囲に属する方法により生産されたレンズを販売する行為。
ウ 特許発明がレンズの生産方法ではなく、その製造装置であって、同特許発明の技術的範囲に属する製造装置により製造されたレンズを販売する行為。
エ 特許発明がレンズの研磨プログラムであって、同特許発明の技術的範囲に属するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為。

解説

特許の実施に関する問題です。
1. 特許の対象となる発明には以下3つがあります。
①物の発明 (例:肥料や農耕機そのもの)
②⽅法の発明(例:野菜の保存方法)
③物を⽣産する⽅法の発明 (例:野菜の栽培方法)

2. 特許の「発明の実施」の範囲としては以下の通りです。
①物の発明は、その物の⽣産、販売、譲渡や輸出・輸⼊・譲渡の申出が含まれる
②⽅法の発明は、その⽅法の使⽤が含まれる
③物を⽣産する⽅法の発明は、その⽅法を使⽤する⾏為や、その⽅法によって⽣産した物の使⽤・譲渡や輸⼊・輸出、譲渡の申出をするということが含まれる

それでは上記説明を踏まえて、各選択肢が①~③のどれに当てはまるかをみていきましょう。
今回は、不適切なものを選ぶ問題です。

選択肢ア:その通りです。③の例で、その方法を使用する(つまり、製造すること)は特許の実施に当てはまります。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢イ:その通りです。③の例で、その方法を使用した販売行為は特許の実施に当てはまります。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢ウ:誤りです。製造装置自体の発明は①に当てはまるので、この場合機械装置そのものの⽣産、販売、譲渡や輸出・輸⼊・譲渡の申出などが実施の対象であり、その装置を使って生産された商品の販売にまでは特許の実施は適用されません。装置、というと③っぽく聞こえるのでひっかからないようにしましょう。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:その通りです。少し悩むかもしれませんが、プログラムの発明は①に当てはまります。回線を通じて提供も販売や譲渡と同等の行為とされます。
よって、この選択肢は〇です。

以上から、正解は不適切な選択肢である、選択肢ウとなります。

 

 

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