今日は運営管理のH28第28問について解説します。
小売店の商品管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ある期間の商品回転率が6である場合、当該期間の売上高は期末在庫高の6倍である。
イ 売上高が減った場合でも、平均在庫高を一定に保てば商品回転率は維持できる。
ウ 売場に商品を補充する際、先入れ先出しをすると必ず商品回転率が高まる。
エ 売れ筋商品の品ぞろえを増やして売上高が増加すれば、平均在庫高が増えたとしても必ず商品回転率が高まる。
オ 需要期後に売れ残った季節商品を値引きや廃棄して処分すると、その処分をしないよりも商品回転率は高まる。
解説
小売店の商品管理に用いられる指標である商品回転率に関する問題です。商品回転率は、売価、原価、数量で計算する方法があり、それぞれ計算式は以下のようになります。
商品回転率(売価)=売上高÷平均在庫高(売価)
商品回転率(原価)=売上原価÷平均在庫高(原価)
商品回転率(数量)=売上数量÷平均在庫高(数量)
それでは早速、各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アでは、売上高を問われていますので計算式の分母は、期末在庫高ではなく「平均在庫高(売価)」になります。なお、平均在庫高(売価)は(期首在庫高(売価)+期末在庫高(売価))÷2で求められます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:分母である平均在庫高を一定に保った場合でも、分子である売上高が減少すると商品回転率は低下します。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウの「先入れ先出し」とは、先に補充した商品から(先入れ)先に売れていくように(先出し)商品を補充する方法です。ゴンドラであれば、残っていた商品を前に出してから、前に出した商品の後ろに補充する商品を置いていきます。商品の鮮度や在庫期間を保つための方法であり、売上高や平均在庫高には関係ありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エのように売上高と平均在庫高が共に増加した場合、商品回転率が高まるのは売上高の増加率が平均在庫高の増加率を上回った場合だけです。売上高の増加率以上に平均在庫高が増加してしまうと商品回転率は低下してしまいます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オのように需要期後に売れ残った季節商品を値引き販売した場合、売上高は増加して平均在庫高(売価)が減少しますので商品回転率は高まります。また、売れ残った商品を廃棄した場合には、売上高は変化しませんが、平均在庫高(売価)は減少しますので商品回転率は高まります。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢オとなります。