【過去問解説(法務)】H27 第12問 産業財産権(意匠権)

【参考問題】

令和2年4月1日~法改正により、関連意匠にのみ類似する意匠の登録も可能となりました。

今回は、H27年経営法務の第12問の意匠権の問題について解説します。

H27 第12問

意匠登録制度に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 関連意匠制度とは、本意匠及び関連意匠に類似する意匠について意匠登録を受けることができる制度である。
イ 組物意匠制度とは、セットで販売される物品であって、組物全体として統一感があるものについて一意匠として意匠登録を受けることができる制度である。
ウ 部分意匠制度とは、物品の部分に関する意匠について意匠登録を受けることができる制度である。
エ 秘密意匠制度とは、意匠権の設定の登録の日から5年以内の期間に限り、意匠を秘密にすることを請求することができる制度である。

解説

それでは早速各選択肢を見ていきましょう。

意匠登録制度に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 関連意匠制度とは、本意匠及び関連意匠に類似する意匠について意匠登録を受けることができる制度である。
イ 組物意匠制度とは、セットで販売される物品であって、組物全体として統一感があるものについて一意匠として意匠登録を受けることができる制度である。
ウ 部分意匠制度とは、物品の部分に関する意匠について意匠登録を受けることができる制度である。
エ 秘密意匠制度とは、意匠権の設定の登録の日から5年以内の期間に限り、意匠を秘密にすることを請求することができる制度である。

選択肢アは、「本意匠及び関連意匠」に類似する意匠について意匠登録を受けることができるとありますが、関連意匠の関連意匠は登録できませんのでこの選択肢は×です。

選択肢イは一見正しそうに見えます。その場合とりあえず仮に〇として次の選択肢を見てみます。

選択肢ウも特に間違ったところはありませんので〇です。

選択肢エの秘密意匠制度は登録から5年ではなく3年ですので×です。

こうやって一通り選択肢を見てみると、選択肢アとエは確実に違うため削ることができましたが、選択肢イとウが悩ましいところです。

このように「最後の二択」で悩ましい場合というのも多いかと思います。
そのような場合、より間違えの入る余地の小さい方を選ぶ、というのが1つ指針になります。

ものすごく乱暴な言い方をすると「迷ったときは文章が長い方が×」です。
これは、必ずしも常にそうではありませんが、誤りの選択肢を作る場合に余計な間違った説明を追加することで選択肢全体を×にする、という作り方があります。文章が長い方が、この間違った説明が追加された選択肢である可能性が高いことから、「迷ったときは文章が長い方が×」とすると、間違えの選択肢を削れる可能性があります。

選択肢イとウの場合、ウは部分意匠登録の制度についての説明で間違えが入り込む余地が小さいですが、選択肢イは「セットで販売される物品であって」、「組物全体として統一感があるものについて」、「一意匠として」というところにそれぞれに間違いの入り込む余地があります。
そのため、どうしてもわからない場合は、間違いの入り込む余地が小さい選択肢としてウを選ぶ方が正解の可能性は高いです。

ちなみに、今回の場合ですと、組物意匠とは「同時に使用される二以上の物品であって、経済産業省令で定められる物品に関する意匠で、組物全体として統一感があるものをいう」とされています。
そのため必ずしも「セットで販売される物品」である必要はありません。
ですので、「セットで販売される物品」という部分が誤りで選択肢イは×となります。

以上から正解は選択肢ウとなります。

 

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2件のフィードバック

  1. 関連意匠に類似する意匠の登録も可能ではないでしょうか?(間違えていたら、すみません)

    1. 仰る通りです。
      この問題が出題された時点では、関連意匠にのみ類似する意匠は登録できませんでしたが、令和2年の法改正により可能になりました。
      冒頭に参考問題の注意書きを追加しました。

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