【過去問解説(経済学)】H30第9問 マンデル・フレミングモデル

今回はマンデル・フレミングモデルの問題を解説します。

この問題はマンデル・フレミングモデルの問題の中でも典型的なものですので、ぜひ解けるようになってください。

 

H30 経済学 第9問

下図において、IS曲線は生産物市場の均衡、LM曲線は貨幣市場の均衡、BP曲線は国際収支の均衡を表す。この経済は小国経済であり、資本移動は完全に自由であるとする。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

 

(設問1)
変動相場制の場合における政府支出増加の効果に関する記述として、最も適切
なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 為替レートは増価する。
b GDPは増加する。
c 純輸出の減少が生じる。
d 民間投資支出の減少が生じる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

(設問2)
変動相場制の場合における貨幣供給量増加の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 為替レートは増価する。
b GDPは増加する。
c 純輸出の増加が生じる。
d 民間投資支出の増加が生じる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

この問題はBP曲線が水平なマンデル・フレミングモデルの問題で、変動相場制のとき、財政政策or金融政策の拡大で、GDPはどうなるかを連想ゲーム式に考えていきます。

まずは設問1の政府支出増加(=財政政策)の効果についてです。

 

①    拡張的な財政政策を行うとIS曲線が右にシフトし、均衡国民所得がY*からY1に増加するとともに利子率iも増加します。
②    利子率iが増加すると、高い利子率を求め資金が流入します。
③    資金流入に伴い円が買われるため円高になります。
④    円高になると輸入が増え、輸出が減りますので、IS曲線が左にシフトし、均衡国民所得Y1がからY*に減少します。
⑤    IS曲線は元の位置に戻り、財政政策の効果はなくなります。

 

以上から財政政策はあまり意味をなさない、といえます。

 

それでは、これを問題に照らし合わせてみましょう。

a 為替レートは増価する。

円高になるのでこれは○です。
b GDPは増加する。

財政政策はあまり意味をなさないのでこれは×です。
c 純輸出の減少が生じる。

円高になると輸入が増え、輸出が減るのでこれは○です。
d 民間投資支出の減少が生じる。

利子率が増加すると、高い利子率を求め外部から資金が流入するのでこれは×です。

 

以上から、正しいのはaとcのため、正解は選択肢アとなります。

 

次に、設問2の貨幣供給量増加(=財政政策)の効果についてです。

 

①    拡張的な金融政策を行うとLM曲線が右にシフトし、均衡国民所得がY*からY1に増加するとともに利子率iは低下します。
②    利子率iが低下すると、高い利子率を求め資金が流出します。
③    資金流出に伴い円が売られるため円安になります。
④    円安になると輸出が増え、輸入が減りますので、IS曲線が左にシフトし、均衡国民所得Y1がからY2に増加します。
⑤    IS曲線は右にシフトし金融政策の効果は高まります。

 

以上から金融政策はわりと効果があるといえます。

 

それでは、これを問題に照らし合わせてみましょう。

a 為替レートは増価する。

円安になるのでこれは×です。
b GDPは増加する。

均衡国民所得は増加するのでこれは○です。
c 純輸出の増加が生じる。

円安になると輸出が増え、輸入が減りますのでこれは○です。
d 民間投資支出の増加が生じる。

利子率が低下すると、高い利子率を求め資金が外部に流出します

 

以上から、正しいのはbとcのため、正解はウとなります。

 

 

 

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