【過去問解説(財務・会計)】H24 第21問 オプション取引

今日は財務会計のH24第21問のオプション取引の問題について解説します。

 

H24 財務・会計 第21問
オプション取引に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア コール・オプションの買いの場合、原資産価格が行使価格を上回ったときにアウト・オブ・ザ・マネーとなる。
イ コール・オプションの買いの場合、原資産価格が行使価格を下回ったときにイン・ザ・マネーとなる。
ウ プット・オプションの買いの場合、原資産価格が行使価格を上回ったときにアット・ザ・マネーとなる。
エ プット・オプションの買いの場合、原資産価格が行使価格を下回ったときにイン・ザ・マネーとなる。

解説

アウト・オブ・ザ・マネー、イン・ザ・マネー、アット・ザ・マネーという用語を知っているかが問われている問題です。

まとめシートでも解説しましたが、
アウト・オブ・ザ・マネーとは、オプションの買い手が権利を行使する価値がない状態、イン・ザ・マネーとは、オプションの買い手が権利を行使する価値がある状態のことをいい、権利行使価格と市場価格が同じ場合はアット・ザ・マネーといいます。

これを踏まえて各選択肢を見ていきましょう。

選択肢アについて、コール・オプションの買いの場合で考えます。
例えば、ドルと円の為替取引において、満期時の権利行使価格が1ドル100円、オプションプレミアムが1円のコールオプションを購入したとします。
もし満期時、1ドル103円となった場合、オプションの買い手は権利を行使することで、1ドル100円で購入することができ、オプションプレミアムの1円を差し引いた2円の利益を得ることができます。そのため、原資産価格が行使価格を上回ったときは、オプションの買い手が権利を行使する価値があり、イン・ザ・マネーとなります。
そのため、「アウト・オブ・ザ・マネーとなる。」とする選択肢アは誤りです。

選択肢イについては、先ほどの検討で原資産価格が行使価格を上回ったときにイン・ザ・マネーとなることがわかりましたので、逆に原資産価格が行使価格を下回ったときはアウト・オブ・ザ・マネーとなることがわかります。

選択肢ウについては、権利行使価格と市場価格が同じ場合がアット・ザ・マネーですので、誤りです。

選択肢エはその通りで、プット・オプションの買いの場合、原資産価格が行使価格を下回ったときにイン・ザ・マネーとなります。

 

以上から、正解は選択肢エです。

 

 

ただし、この問題、上記のような知識を元にした正統派の解き方ではなく、邪道な解き方もあります。

まずはきちんとした知識を付けることが優先ですので、できればこの問題はしっかり言葉を理解した上で解答できるようになってほしいですが、もし本番の試験のときに全く知らない用語に出くわした時の最終手段ということで、邪道な解き方を説明します。

この問題だけではなく、似たような問題にも使えるかもしれません。

 

まず、選択肢ア~エ全体を見てみます。

すると、選択肢アと選択肢イは「上回ったときにアウト」、「下回ったときにイン」と完全に対になっています。

仮にどちらかが正しかったとすると、もう一方も正しくなければいけないので、正しい選択肢が2つとなり解答が成り立ちません。

よって、選択肢ア、イは×と考えることができます。

 

次に選択肢ウ、エを見てみます。

用語をうろ覚えでは覚えていて、イン・ザ・マネーとアウト・オブ・ザ・マネーどっちがどっちかわからないという状態であれば、アット・ザ・マネーは権利行使価格と市場価格が同じなので、「原資産価格が行使価格を上回ったときに」と書いてある選択肢ウを×とすることができます。

 

また、もし用語を知らなかったとしても、「イン」、「アウト」、「アット」という用語のイメージから、+、-、0という意味ではないかということが推測でき、0という意味だと想定できる「アット・ザ・マネー」は誤りなのではないかと推測できます。

 

このように、仮に用語の意味が全く分からない場合も選択肢の構造によっては正解を導く糸口がありますので、いざという時の参考としていただければと思います。

 

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