今日は、企業経営理論 R8 第1問について解説します。
企業の内部環境分析の1つであるVRIO分析の考え方に基づく、ある企業の持つ経営資源の評価に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 業界トップのブランド力を有し、他社がそれを模倣するのは極めて困難である。また、その利用体制も組織的に整備されており、当該ブランドを冠する製品やサービスは顧客の支払意思額を高めている。この場合、そのブランドは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。
イ 現時点でそのノウハウの商業的な利用機会は見いだせず、将来においても経済的な価値創出を期待することができない。しかし、長年の試行錯誤や人間関係によって築かれ、組織的な活用体制も整えられており、他社による模倣が事実上困難なノウハウである。この場合、そのノウハウは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。
ウ 顧客に提供する価値の源泉となっており、現時点では他社が保有していない希少な技術である。組織的な活用体制も構築されている。しかし、近い将来に、代替手段が低コストで利用可能となる見込みが高い。この場合、その技術は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。
エ 製品化に不可欠な原材料であり、それを投入することで顧客ニーズを的確に捉え売上向上に寄与している。しかし、他社も同様の原材料を容易に入手し活用している。この場合、その原材料は企業に対して「一時的な競争優位」をもたらすと評価される。
オ その業界では代表的なサプライヤーから調達可能であり、自社を含む多くの企業が同等の設備を既に導入している。しかし、その設備は当該製品の生産に不可欠であり、組織的な利用体制も整っている。この場合、その設備は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。
解説
リソースベースドビュー(RBV)のVRIO分析に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

それでは選択肢を見ていきましょう。
→ ✅ 正しいです。
ブランドによって顧客の支払意思額が高まっているため、経済価値(V)があります。また、業界トップのブランド力を持ち、模倣も極めて困難で、活用するための組織体制も整っています。
VRIOの条件を満たしているため、このブランドは持続的な競争優位をもたらすと評価できます。
よって、この選択肢は〇です。
→ ❌ 誤りです。
模倣が困難で、組織的な活用体制が整っていたとしても、そもそも「経済的な価値創出を期待することができない」とされています。つまり、VRIOの最初の条件である経済価値(V)を満たしていませんので、持続的な競争優位をもたらすとは評価できません。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
この技術は、顧客に価値を提供し、他社が保有していない希少なものであるため、経済価値(V)と希少性(R)は満たしています。
一方で、近い将来に低コストの代替手段が利用可能となるので、競争優位を長期的に維持することは難しくなります。ただし、現時点では価値があり希少な経営資源なので、直ちに「競争劣位」と評価するのは適切ではありません。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
この原材料は売上向上に寄与しているため、経済価値(V)はあります。
しかし、他社も同じ原材料を容易に入手できるため、希少性(R)がありません。したがって、他社に対する競争優位の源泉とはならず、「一時的な競争優位」をもたらすとは評価できません。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
設備は製品の生産に不可欠なので、企業にとって経済的な価値があります。しかし、自社を含む多くの企業が同等の設備を導入しているため、希少性(R)はありません。
他社と同じ経営資源を持っているだけなので競争優位にはつながりませんが、価値のある経営資源を保有している以上、「競争劣位」と評価するのも適切ではありません。
よって、この選択肢は×です。
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