今日は、企業経営理論 R8 第2問について解説します。
SWOT 分析では、「強み」や「弱み」といった内部環境要因と「機会」や「脅威」といった外部環境要因を組み合わせて、戦略代替案を考えることができる。以下の事例に基づき、治療院Aが検討している戦略代替案のうち、「弱み」と「機会」に対応するものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
<事例>
治療院Aは、近隣に高齢者が多数居住するマンションがある地域で営業している。従業員は誰とでも気さくに話せるため患者からの受けがよく、院長は鍼しん灸きゅう師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の資格を有しており、幅広い施術を提供できる体制にある。一方、治療院Aは仕事が丁寧であることで評判を得ているものの、患者1人当たりにかける時間が長く、その結果として待ち時間が長くなりがちである。こうした状況の中、先月、近隣に低価格を売りにした治療院Bが新たに開院し、競争環境が変化しつつある。
〔解答群〕
ア 院長の複数資格を生かし、鍼灸・マッサージ・整復を組み合わせた総合施術メニューを整備する。高齢者層に向けて症状別の提案や説明を強化し、提供内容の幅広さを訴求して利用拡大を図る。
イ 患者1人当たりの施術時間をさらに確保し、これまで以上に患者に寄り添った接遇を行うことでサービス品質を高める。料金よりも対応や施術内容を評価する既存の高齢患者の満足度向上に注力する。
ウ 競合の低価格戦略に合わせて料金を引き下げ、来院数の増加によって売上の確保を狙う。そのために施術時間を短縮して回転率を上げ、低価格でも利益が出る運営体制へと転換していく。
エ 低価格を打ち出す競合に対して、料金水準を追随して下げるのではなく、質の高い総合的な治療を前面に出して差別化する。料金以外の価値を分かりやすく伝えることで選ばれる理由をつくる。
オ 待ち時間に起因する不満や離反を抑えるために、電話予約や時間帯予約を導入して来院の集中を平準化する。あわせて高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を整備し、来院のハードルを下げて利用拡大につなげる。
解説
環境分析と戦略のSWOT分析に関する問題です。
SWOT分析は、内部環境・外部環境を分析する手法で、それぞれのアルファベットは以下を指します。
- S:Strength(強み)
- W:Weakness(弱み)
- O:Opportunity(機会)
- T:Threat(脅威)
それでは選択肢を見ていきましょう。
→ ❌ 誤りです。
「院長が複数の資格を持ち、幅広い施術を提供できること」という「強み」を生かし、「近隣に高齢者が多いこと」という「機会」を活用する戦略です。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
患者に寄り添った丁寧な対応という「強み」をさらに生かそうとする戦略です。一方、本問で求められている「患者1人当たりにかける時間が長く、待ち時間が長い」という「弱み」を改善する戦略にはなっていません。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
施術時間を短縮することで、「待ち時間が長い」という「弱み」への対応を図っています。しかし、料金を引き下げるのは「近隣に低価格の治療院Bが開院した」という「脅威」への対応です。
よって、この選択肢は×です。
→ ❌ 誤りです。
質の高い総合的な治療を前面に出すのは、治療院Aの「強み」を生かす戦略です。また、低価格を打ち出す競合との差別化を図っているため、「脅威」への対応でもあります。
よって、この選択肢は×です。
→ ✅ 正しいです。
電話予約や時間帯予約の導入によって、「待ち時間が長い」という「弱み」の改善を図っています。さらに、高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を整備することで、「近隣に高齢者が多数居住している」という「機会」を生かしています。
よって、この選択肢は〇です。
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