【過去問解説(経営法務)】R4 第5問(2)組織再編

今日は、経営法務 R4 第5問 設問2 について解説します。

 経営法務 R4 第5問 設問2

以下の会話は、X株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話に基づき下記の設問に答えよ。
なお、本問における甲氏とあなたとの間の会話内の会社分割は、吸収分割のことを指している。

甲 氏:「弊社の事業の一部である b 事業の業績が芳しくないので、b 事業を他の会社に売って、弊社の経営資源を a 事業に集中したいと思っています。先日、資本関係にない株式会社であるY社から、b 事業を買いたいという話がありました。Y社の担当者によれば、方法としては、事業譲渡の方法と会社分割の方法があり、会社分割は吸収分割とのことでした。私は、b事業を売った対価を金銭としたいと思ったのですが、事業譲渡と会社分割とでは違いが生じるのでしょうか。」
あなた:「 [A ]。」
甲 氏:「なるほど。その後、私が、弊社の経理部長乙氏に意見を聞いたところ、乙氏は、『これを機会にY社の株式を取得して、Y社との関係を深めてはどうか。』と話していました。b 事業を売った対価を株式とすることは、事業譲渡と会社分割のいずれでもできるのでしょうか。」
あなた:「 [B] 。」
甲 氏:「ありがとうございます。事業譲渡によるのか、会社分割によるのかは、弊社内で再度検討します。ところで、事業譲渡と会社分割の手続きを少しお聞きしたいのですが、それぞれの手続きで違うところはあるのでしょうか。」
あなた:「 [C] 。」
甲 氏:「分かりました。ありがとうございます。」

(設問 2 )
会話の中の空欄Cに入る記述として、最も適切なものはどれか。
なお、事業譲渡及び会社分割のいずれの場合においても、当該株主総会の承認決議と同時に解散決議をするものではなく、また、簡易手続(簡易事業譲渡、簡易会社分割)によるものではないものとする。

ア 会社法では、事業譲渡の場合、X社の株主にいわゆる反対株主の買取請求権が認められていますが、会社分割では反対株主の買取請求権は認められていません
イ 会社法では、事業譲渡は、登記をすることにより効力が発生するとされていますが、会社分割は、契約書に定めた効力発生日に効力が発生するとされています
ウ 会社法には、会社分割では、X社で契約書などの事前開示書類を一定の期間、備置することが定められていますが、事業譲渡ではそのような定めはありません
エ 会社法には、事業譲渡ではX社の債権者を保護するための債権者保護手続が定められていますが、会社分割ではそのような手続きは定められていません

解説

組織再編に関する問題です。
組織再編については、まとめシートで以下の通り解説しています。

選択肢ア:誤りです。反対株主の買取請求権とは、組織再編や事業譲渡に反対する株主は会社に⾃分の持つ株を買い取ってもらう権利のことです。そして上の表の通り、買取請求権は全ての組織再編で認められています。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:誤りです。上の表の「効力の発生時期」で解説の通り、事業譲渡は事業譲渡契約で定めた日、吸収分割は吸収分割契約で定めた⽇が効力発生日となります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:その通りです。組織再編を⾏う前後で組織再編の内容等を記載した書⾯または電磁的記録の備置の要否については、各組織再編では、本店に⼀定期間備置することが法律上求められていますが、事業譲渡の場合は売買契約のようなものですので書⾯を備置することは法律上求められていません。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢エ:債権者保護⼿続は合併の場合には必要ですが、株式交換、株式移転、事業譲渡では必要ありません。なお、会社分割の場合は、承継の対象となった事業の債権者は債権者保護⼿続の対象となりますが、残存事業の債権者は債権者保護⼿続の対象とはなりません。
よって、この選択肢は×です。

以上から、正解は選択肢エとなります。

設問1の解説はこちら

 

 

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