【過去問解説(企業経営理論)】H29 第29問 価格戦略

今日は企業経営理論H29第29問の価格戦略に関する問題について解説します。

企業経営理論H29第29問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
高性能オーディオ製品を生産しているメーカーA社は、B地区にそれぞれ店舗を構える小売業のX社とY社に卸売を行っている。かつてはX社とY社の小売店舗はともに、丁寧な対面販売と手厚いサービスを重視していた。ここ数年の間、X社が従来の方向性を強化する一方、Y社は販売員を減らし、店舗への投資を削減して販管費を節約し、それを低価格に反映させるディスカウント戦略をとるようになっていた。
その結果、多くの消費者がX社の店舗で情報探索し、Y社の店舗で実際の商品の購買を行うという傾向が顕著化した。X社はY社の行動の影響による売上不振を打開するため、自らもY社と同様の戦略をとるようになっていった。
(設問1)
文中の下線部①に示すような状況を表す語句として、最も適切なものはどれか。
ア クロスバイイング
イ ダンピング
ウ ブラウジング
エ フリーライディング

(設問2)
文中の下線部②に示すX社およびY社の行動がメーカーA社にもたらすであろう結果として、最も適切なものはどれか。
ア A社はX社とY社に対して、自らの製品の小売段階における価格を設定し、それを厳守することを両社に約束させた。
イ X、Y両社による価格競争の結果、A社の製品は高い市場シェアを実現するとともに、ブランドの強化を図ることができた。
ウ X社とY社が同じ商圏の中で価格競争を通じて顧客の奪い合いを行うようになったため、A社は両社に対する卸売価格の引き上げに成功した。
エ X社とY社が価格競争を展開することによって、A社が長年をかけて築いてきたブランドイメージが毀損(きそん)された。

 

解説

(設問1)

下線部①はX社の丁寧な対面販売と手厚いサービスを使うだけ使って、買うのは安いY社ということなので、ただ乗りという意味のフリーライディングが当てはまります。
よって、正解は選択肢エです。

ちなみに、選択肢アのクロスバイイングとは関連するいろいろな種類の製品を同時に購入することを意味します。また、選択肢イのダンピングとは、不当廉売のことで、選択肢ウのブラウジングとは、インターネットで情報を探し出すことを意味しています。

(設問2)

選択肢アは、可能性としてゼロではありませんが、家電量販店の価格などを見てわかるように、メーカー側が製品の価格を設定し、それを守らせることは困難です。よって、この選択肢は×と考えられます。

選択肢イは、価格競争が起こって、価格が下がるとシェアが高まる可能性はありますが、ブランドの強化を図ることは難しくなると考えられます。よって、この選択肢は×と考えられます。

選択肢ウは、価格競争の結果、卸売価格の引き下げが起こる可能性はあっても、卸売価格の引き上げにつながる可能性は低いと考えられます。よって、この選択肢は×です。

選択肢エはその通りで、価格競争が起こることでA社のブランドイメージは低下する可能性があります。

以上より、選択肢エが正解となります。

 

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