【過去問解説(企業経営理論)】R3 第16問 リーダーシップ論

今日は、企業経営理論のR3 第16問 について解説します。

 企業経営理論 R3 第16問

リーダーシップ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア E.P.ホランダー(E. P. Hollander)の特異性-信頼理論によると、リーダーがフォロワーから信頼を得るためには、集団の目的に貢献する有能性と、集団の自由を重んじる開放性を満たす必要がある。
イ F.E.フィードラー(F. E. Fiedler)の研究によると、リーダーシップの有効性に影響を及ぼす状況の決定要因とは、①リーダーとメンバーの人間関係、②課業の構造化の度合い、③リーダーの職位に基づくパワーの3要因である。
ウ R.リッカート(R. Likert)らによる初期のミシガン研究によると、高業績部門では職務中心的な監督行動が多くみられる一方で、低業績部門では従業員中心的な監督行動が多くみられる。
エ オハイオ研究によると、有効なリーダーシップの行動特性を表す次元とは、メンバーが良好な人間関係を構築できる「構造づくり」と、課題達成に向けてメンバーに理解しやすい指示を出す「配慮」の2つである。
オ 状況的リーダーシップ論(SL 理論)によると、リーダーシップの有効性に影響を及ぼす状況要因とは、目標達成に向けたフォロワーの貢献意欲の強さである。

解説

リーダーシップ論に関する問題です。

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。少し分かりにくいのですが、リーダーがフォロワーから信頼を得るためには「有能性」と「同調性」(選択肢では開放性となっている部分が誤り)を満たす必要があるとされています。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:その通りです。フィードラーの理論は、リーダーと部下が接するときのスタイルと置かれている状況が適合することが重要だという考え方です。その3要因として、①リーダーとメンバーの人間関係、②課業の構造化の度合い、③リーダーの職位に基づくパワーがあり、まとめシートでは以下の通りまとめています。

よって、この選択肢は〇です。

選択肢ウ:誤りです。高業績部門と低業績部門の説明が逆になっています。ミシガン研究では、最も良いリーダーは、生産性に対してよりも従業員に対する志向を重視する参加型のリーダーであるとされています。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。「行動づくり」と「配慮」の説明が逆になっています。構造づくりとは、インフラ整備や部下の課題管理のことで、例えば、部下に程よいハードルの仕事を与えるといったことです。また、配慮とは部下への気配りやアイディアの尊重などで信頼を構築し、より良い人間関係を築いていくということです。オハイオ研究では、この構造づくりも配慮も両方できるリーダーが望ましいリーダーであるとしています。
よって、この選択肢は×です。

ちなみに、企業経営理論では選択肢ウ、エのように、対になる定義に関する説明が逆転している、というひっかけのケースがよくあるので、対になる言葉が出てきた場合は、常に注意してみるとよいでしょう。

選択肢オ:誤りです。SL 理論とは、シチュエーショナル・リーダーシップ理論(Situational Leadership)の略で、状況対応型リーダーシップとも呼ばれ、部下の発達度に応じてリーダーの行動を変えていくべきという理論です。
SL理論では、リーダーのあり方について、援助的行動(人間関係志向)の高低と指示的行動(仕事志向)の高低で4 つの象限に分けています。そして、有効なリーダーシップは部下の成熟度のレベルによって、S1 の教示型からS2 の説得型、S3 の参加型、S4 の委任型へと変化していくとしており、まとめシートでは以下の通りまとめています。

以上から、正解は選択肢イとなります。

 

 

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