【過去問解説(法務)】H30第8問 意匠権

【参考問題】
※令和元年5月17日に公布された改正意匠法により、関連意匠にのみ類似する意匠も関連意匠として認められるようになりました。

今回は意匠権の問題について解説します。

 

H30 経営法務 第8問

意匠制度における「意匠の類似」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似する意匠は、登録を受けることができない。

イ 類似の意匠について同日に 2 以上の意匠登録出願があり、意匠登録出願人間で行われる協議が成立しなかった場合は、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の意匠登録出願人のみが意匠登録を受けることができる。

ウ 意匠権者は、業として登録意匠の実施をする権利を専有するが、これに類似する意匠についてはそれを実施する権利を専有しない。

エ 意匠登録を受けようとする関連意匠にのみ類似する意匠についても関連意匠として意匠登録を受けることができる。

 

解説

早速それぞれの選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは通常、意匠権の登録の要件として「非公知、非頒布・公表」という要件があり、新規性喪失の例外が適用される場合があります。ただし、今回は類似意匠という制約があるためこの登録の要件が適用されるか分からないので一旦保留とします。
ちなみに、説明が非常に細かく本試験レベルではないので割愛しますが、結論から言いますと類似意匠は新規性喪失の例外規定に当たらないため、「出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似する意匠は、登録を受けることができない」が正しいです。
そのため、この選択肢は○です。

選択肢イは、同日に出願があり、協議が不成立だったときにくじで決まるのは商標でした。意匠の場合は協議不成立だと不登録となるので×です。

選択肢ウは、意匠権は類似意匠にも効力が及ぶので×です。

選択肢エは、関連意匠の関連意匠は登録できないので×です。
※令和元年5月17日に公布された改正意匠法により、関連意匠にのみ類似する意匠も関連意匠として認められるようになりました。

以上から、選択肢アを保留にしていましたが、イ~エが×と判断できましたので、残るアを〇とします。
よって、正解は選択肢アとなります。

 

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2件のフィードバック

  1. まとめシート12.産業財産権③の【関連意匠制度】のご説明の中で、”関連意匠にのみ類似する意匠でも登録できる”と記載頂いております。これは”関連意匠の関連意匠”とは違う意味でしょうか?選択肢エの”関連意匠の関連意匠は登録できない”との回答と矛盾しているように感じており、ご教示頂けると幸いです。

    1. コメントありがとうございます。
      ご指摘の件についてですが、令和元年5月17日に公布された改正意匠法により、関連意匠にのみ類似する意匠も関連意匠として認められるようになりました。
      この記事が書かれたのが法改正前の平成30年の段階でしたので、解説が古い状態になっており恐縮です。
      注記を入れさせていただきました。

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