【過去問解説(経済学)】H25第21問 ゲーム理論

今回はH25年第21問のゲーム理論の問題を解説します。

 

H25 経済学 第21問

いま、2つの企業AとBを考える。両企業は、それぞれ、重要な特許権と、重要ではない特許権を有している。もし、双方が重要ではない特許権のみを拠出し,それらを共有するならば、開発される新製品の質は低く、双方の企業は22の利益 しかあげることができない。しかしながら、両企業が重要な特許権を拠出し、それ らを共有するならば画期的な新製品の開発によって、双方とも35の利益をあげることができる。

ただし、相手が重要な特許権を拠出しながらも、自らは重要ではない特許権を拠 出することができ、それらを共有するならば、自らの企業だけが新製品の開発に成功し40の利益をあげることができる一方で、相手企業は新製品の開発ができず利益は 20 にとどまる。

下表は、このような企業間の関係を利得表の形で整理したものである。企業Aと企業Bが相互に利得表の内容を理解しているときの説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]
ア このような企業間の関係が1回限りで生じている場合、資源配分が(22,22)となるとき、パレート最適が実現している。
イ このような企業間の関係が1回限りで生じている場合、両企業が「重要ではない特許権のみを拠出する」のは、ナッシュ均衡である。
ウ このような企業間の関係が2回だけ繰り返される場合、1回目の取引で資源配分が(22,22)となるとき、情報の非対称性によるモラルハザードが起きている。
エ このような企業間の関係が2回だけ繰り返される場合、企業Aが1回目の取引で「重要な特許権を拠出する」のは支配戦略である。

解説

それでは早速それぞれの選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、「パレート最適が実現している」とありますが、パレート最適とは他の誰かの効用を低下させることなしには、自分の効用を増やすことができない状態のことをいいます。そのため、この選択肢の説明とは違っています。よってこの選択肢は×です。

選択肢イは、説明の通りなのでこれが正解と考えられます。

念のため他の選択肢も見てみましょう。

選択肢ウのモラルハザードとは、契約後に情報の非対称性があることにより、契約後に仕事や注意を怠るようになる現象のことをいいます。よってこの選択肢の説明とはあまり関係なく、この選択肢は×と考えられます。

選択肢エについては、囚人のジレンマが起きるゲームでも、無限回の繰り返しゲームとなると、協調が均衡解となるというフォークの定理がありますが、この選択肢の場合「2回だけ繰り返される」とありますので×です。

以上から正解は選択肢イとなります。

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