【過去問解説(経済学)】H30 第18問(2) 最適な生産要素の投入量

今日は、経済学 H30 第18問(2) について解説します。

 経済学 H30 第18問(2)

生産においては、生産要素を効率的に投入することが重要である。下図では、等産出量曲線と等費用線を用いて、最適な生産要素の投入量を考える。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問 2 )
この図においては、点 E で生産要素の最適投入が実現している。点 E に関する記述として、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕
ア 点 E では、点 B と同じ量を生産する場合の要素費用最小化が実現している。
イ 点 E では、労働と資本について要素価格 1 単位当たりの限界生産物が均等化している。
ウ 点 E においては、点 A と技術的限界代替率が同じであるが、労働と資本の要素価格比率が異なっている。
エ 点 E における技術的限界代替率は、点 D と比べると大きく、点 F と比べると小さい。

解説

等産出量曲線と等費用線に関する問題です。
等産出量曲線や等費用線については、まとめシートで以下の通り解説しています。

専門用語がいくつもでてきます。
まずは用語の意味をおさえておきましょう。

【等産出量曲線=等量曲線】
生産量が同じになる様に労働量と資本量を組み合わせを曲線で表したものです。
生産量=労働量+資本量のうち、生産量を固定にしたものと考えて下さい。
生産量が少なくなれば等産出量曲線は原点に近づき、多くなれば原点から遠ざかります。

【等費用線】
費用が同じになる労働量と資本量を組み合わせを直線で表したものです。
費用=労働量+資本量のうち、費用を固定にしたものと考えて下さい。
費用が少なくなれば等費用線は原点に近づき、多くなれば原点から遠ざかります。


それでは選択肢をみていきます。

:誤りです。
同じ量を生産する場合の要素費用最小化を実現する投入量は、同一の等産出量曲線等費用線の接点となります。
今回の場合、点Eと点Bは同じ等費用線上にありますが、等産出量曲線が異なるため題意を満たしていません。
※下図の赤の等産出量曲線と、青の等産出量曲線では前提となる生産量がそもそも異なる


点Eは点Dと点Fと同じ等産出量曲線にあり、点Eは等費用線と接しているため「点 E では、点DF)と同じ量を生産する場合の要素費用最小化が実現している。」であればこの選択肢は正しいです。

:正しいです。
「限界」は経済学では「一単位あたり投入時にどれだけ生産量が増えるか」を指します。

点Eは生産要素の最適投入が実現しており、費用最小化点となります(最も効率的な組み合わせが実現できている)。
最適投入=利益最大となるため、最適投入点であるE点では、利益最大化の条件である「MP(限界生産物)=MC(限界費用)」を満たしていることになります。

「要素価格 1 単位当たり(MC)の限界生産物(MP)が均等化している(「=」である」)となり、正しいです。
よって、この選択肢は〇です。

この選択肢はややこしい言葉遣いをしているため分かりづらいですが、他の選択肢が明らかに誤りであるため消去法でも解答を導き出すことができます。
判断に迷う問題は消去法で正解を絞り込んでいきましょう。

:誤りです。
技術的限界代替率とは同量を生産する場合に、ある要素を増やしたときに他の要素をどれだけ減らせるかを指します。
つまり、生産量が一定という条件での要素の組み合わせを示したものであり、等産出量曲線の傾きと同じになります。
点Eの傾きと点Aの傾きを比べると、一致しないためこの選択肢は誤りとなります。

※点A:等費用線の傾きよりも大きい
※点E:等費用線の傾きと同じ

点Aと点Eの技術的限界代替率が異なるため、この選択肢は×です。

:誤りです。技術的限界代替率は先ほどもご説明した通り、等産出量曲線の傾きと同じになります。
点D、点E、点Fのそれぞれの傾きを比較すると、下図になります。


点Dは点Eよりも傾きが大きく、点Fは点Eよりも傾きが小さくなります。
点D>点E>点Fとなるため、この選択肢は誤りです。

「点 E における技術的限界代替率は、点 F と比べると大きく、点 D と比べると小さい。」であればこの選択肢は正しいです。

以上から、正解は選択肢イとなります。

 

 

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