【過去問解説(企業経営理論)】R8 第28問 マーケティングコンセプト #中小企業診断士試験

今日は、企業経営理論 R8 第28問について解説します。

企業経営理論 R8 第28問

リレーションシップ・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 「20対80の法則」に基づけば、上位2割の優良顧客が売上の大部分を占めるという収益構造が多く見られるため、全顧客に一律の経営資源を投下するのではなく、収益性の高い顧客を識別して特別なベネフィットを提供するなど長期的な関係を深化させることは、限られた資源の効率的な配分において有効な手段となる。
イ カスタマー・リレーションシップ・マネジメントを推進する上では、ITを活用した顧客データベースの構築や購買履歴の分析が極めて重要であり、これらの技術的基盤が完備されていれば、接客担当者のスキルのバラつきや組織内の顧客志向の欠如といった人的・組織的要因が、顧客との関係構築の成否に影響を及ぼすことはない。
ウ 顧客生涯価値とは、ある顧客が一生の間にその企業にもたらす価値の合計を意味するが、実務上の算出においては、将来のキャッシュフローの不確実性を考慮し、新規顧客の獲得コストや既存顧客の維持コストを差し引く前の「売上高の総計」を指標として用いるのが一般的である。
エ スイッチング・コストとは、顧客が現在利用しているブランドから競合他社へ乗り換える際に発生する心理的、物理的、金銭的な負担を意味するが、リレーションシップ・マーケティングにおいては、顧客の自由な選択を妨げないよう、このスイッチング・コストを可能な限り低減させて離反の障壁をなくすことが必要である。
オ リレーションシップ・マーケティングは、個々の取引から得られる短期的な利益の最大化を重視するトランザクション・マーケティングの考え方をさらに徹底したものであり、顧客との接触頻度を増やすことで、1回当たりの取引における販売価格を可能な限り引き上げ、当期の営業利益を最大化することを主な目的としている。

解説

マーケティングコンセプトの関係性(リレーションシップ)マーケティングに関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

 

それでは選択肢を見ていきましょう。

選択肢ア:「20対80の法則」に基づけば、上位2割の優良顧客が売上の大部分を占めるという収益構造が多く見られるため、全顧客に一律の経営資源を投下するのではなく、収益性の高い顧客を識別して特別なベネフィットを提供するなど長期的な関係を深化させることは、限られた資源の効率的な配分において有効な手段となる。
→ ✅ 正しいです。
「20対80の法則」とは、20%の顧客で80%の売上を占めるという考え方です。
そのため、収益性の高い顧客を識別し、長期的な関係を深めていくことは、リレーションシップ・マーケティングの考え方に合致します。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢イ:カスタマー・リレーションシップ・マネジメントを推進する上では、ITを活用した顧客データベースの構築や購買履歴の分析が極めて重要であり、これらの技術的基盤が完備されていれば、接客担当者のスキルのバラつきや組織内の顧客志向の欠如といった人的・組織的要因が、顧客との関係構築の成否に影響を及ぼすことはない。
→ ❌ 誤りです。
CRMでは、顧客データベースや購買履歴などの情報を活用することは重要ですが、技術的基盤だけで顧客との良好な関係を構築できるわけではありません。
接客担当者のスキルや、組織全体の顧客志向といった人的・組織的要因も、顧客との関係構築に影響します。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:顧客生涯価値とは、ある顧客が一生の間にその企業にもたらす価値の合計を意味するが、実務上の算出においては、将来のキャッシュフローの不確実性を考慮し、新規顧客の獲得コストや既存顧客の維持コストを差し引く前の「売上高の総計」を指標として用いるのが一般的である。
→ ❌ 誤りです。
顧客生涯価値(LTV)は、1人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす価値を表すものです。
単に顧客から得られる「売上高の総計」に限定されるものではありません。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:スイッチング・コストとは、顧客が現在利用しているブランドから競合他社へ乗り換える際に発生する心理的、物理的、金銭的な負担を意味するが、リレーションシップ・マーケティングにおいては、顧客の自由な選択を妨げないよう、このスイッチング・コストを可能な限り低減させて離反の障壁をなくすことが必要である。
→ ❌ 誤りです。
スイッチング・コストとは、顧客が現在利用している商品やサービスから他社のものへ乗り換える際に生じる負担のことです。
リレーションシップ・マーケティングでは顧客との長期的な関係構築を重視するため、スイッチング・コストを可能な限り低減して離反の障壁をなくすことが必要であるという記述は誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オ:リレーションシップ・マーケティングは、個々の取引から得られる短期的な利益の最大化を重視するトランザクション・マーケティングの考え方をさらに徹底したものであり、顧客との接触頻度を増やすことで、1回当たりの取引における販売価格を可能な限り引き上げ、当期の営業利益を最大化することを主な目的としている。
→ ❌ 誤りです。
リレーションシップ・マーケティングでは、個々の取引による短期的な利益ではなく、顧客との双方向のコミュニケーションや長期的な関係構築を重視します。
短期的な利益を重視するトランザクション・マーケティングをさらに徹底したものではありません。
よって、この選択肢は×です。

✅ 以上から、正解は選択肢アとなります。

 

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