【過去問解説(法務)】H26 第7問 意匠権

今日は、法務のH26 第7問について解説します。

 法務 H26 第7問

意匠制度に関する記述として最も適切なものはどれか。

ア 意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から3年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。
イ 関連意匠の意匠登録を受けた意匠が本意匠に類似しないものであることを理由として、その関連意匠の意匠登録に対して意匠登録無効審判を請求することができる。
ウ 組物を構成する物品に係る意匠としてなされた意匠登録出願に対して、組物全体として統一性がないことを理由として意匠登録無効審判を請求することができる。
エ 「乗用自動車」の意匠が公然知られている場合に、その乗用自動車と形状の類似する「自動車おもちゃ」について意匠登録出願したときは、その出願は新規性がないとして拒絶される。

解説

意匠権のうち、特殊な制度に関する問題です。

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:その通りです。秘密意匠制度に関する説明です。秘密意匠とは、出願⼈が請求すれば、意匠権が設定登録された⽇から3年間を限度とした任意の期間で、登録意匠を秘密とすることができる制度のことです。出願時ではなく、設定登録の日が基準になることに注意してください。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢イ:誤りです。関連意匠とは、本意匠に類似する意匠について意匠登録を受けることができる制度のことです。意匠権は類似形態にもその効⼒が及ぶため、本来であれば類似形態の意匠登録はできませんが、関連意匠は、同⼀出願⼈であれば1つの意匠に類似する複数の意匠についてもその登録を認めるものです。関連意匠登録の要件は本意匠に類似することなので、似ていなければ登録はできません。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:誤りです。組物意匠とは、2個以上の独⽴した物品に対し1個の意匠権を認めるものです。例えばナイフ、フォーク、スプーンのセットで意匠登録を受けた場合、意匠権はこのセットとして効⼒が及ぶものですので、その中のナイフだけといった場合には意匠権は及びません。組物意匠はセットで登録を受けるものですので、全体に統一性がなければ登録することはできません。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。関連意匠の効力が及ぶ範囲については、まとめシートで以下の通り解説しています。

本問のケースでは、「乗用自動車」と「形状の類似する「自動車おもちゃ」」は「物品」が非類似なので赤枠に当てはまります。
ですので、乗用自動車の意匠権の効力は及びませんので、新規性がないと拒絶されるとは限りません。
よって、この選択肢は×です。

以上から、正解は選択肢アとなります。

本問は、選択肢イ、ウ、エは、文章の表現が少し難しい部分もあり悩みますが、選択肢アについては秘密意匠=登録から3年、と覚えていれば一発で解答できる問題ですので、基準となる時期と年数はしっかりと覚えておくようにしましょう。

 

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