【過去問解説(経済学)】R01 第15問  等産出量曲線と等費用線

今日は、経済学 R01 第15問 について解説します。

 経済学 R01 第15問

下図は、産出と費用の関係を描いたものである。労働と資本の両方を可変的インプットとして、生産要素の投入と生産物の産出との関係を描いたものが等産出量曲線である。また、等費用線は、一定の費用のもとで労働と資本をどのくらい投入することが可能かを表している。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問 1 )
等費用線のシフトに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 資本のレンタル価格が上昇した場合、横軸の切片は不変のままで、縦軸の切片が下方に移動する。
イ 賃金率が下落した場合、縦軸の切片は不変のままで、横軸の切片が左方に移動する。
ウ 賃金率の上昇と同じ割合で資本のレンタル価格が下落すれば、等費用線の傾きは変わらない。
エ 費用が増加すると、等費用線が左方に平行移動する。

(設問 2 )
等費用線が右方に平行移動した場合の記述として、最も適切なものはどれか。
ア 新しい等費用線における費用最小化は、点 E と費用は同じであるが、賃金率と資本のレンタル価格がともに高い水準で達成される。
イ 新しい等費用線における費用最小化は、点 E よりも産出量が高い水準で達成される。
ウ 新しい等費用線における費用最小化は、点 E よりも産出量が低い水準で達成される。
エ 新しい等費用線における費用最小化は、点 E よりも労働と資本がともに少ない水準で達成される。

解説

等産出量曲線と等費用線に関する問題です。
等産出量曲線や等費用線については、まとめシートで以下の通り解説しています。

専門用語がいくつもでてきます。
まずは用語の意味をおさえておきましょう。

【等産出量曲線=等量曲線】
生産量が同じになる様に労働量と資本量を組み合わせを曲線で表したものです。
生産量=労働量+資本量のうち、生産量を固定にしたものと考えて下さい。
生産量が少なくなれば等産出量曲線は原点に近づき、多くなれば原点から遠ざかります。

【等費用線】
費用が同じになる労働量と資本量を組み合わせを直線で表したものです。
費用=労働量+資本量のうち、費用を固定にしたものと考えて下さい。
費用が少なくなれば等費用線は原点に近づき、多くなれば原点から遠ざかります。


それでは選択肢をみていきます。

(設問 1 )
:正しいです。
資本のレンタル価格が上昇するということは、同じ金額で入手できる資本量が下がるということです。
Y切片は労働がゼロ、資本が100という割合になるため、全ての資源を資本に振り切った状態です。
全資源を資本に振り切ったとして、例えば資本の価格が倍に上がれば入手できる量は半分になります。
よって、Y切片が下にスライドします。


労働の価格が変化しないのでX切片は変化がありません。
よって、この選択肢は〇です。

:誤りです。
賃金率が下降するということは、同じ金額で入手できる労働の量が増えるということです。
X切片は資本がゼロ、労働が100という割合になるため、全ての資源を労働に振り切った状態です。
全資源を労働に振り切ったとして、例えば賃金が半額になれば入手できる量は倍(2人分雇える)
になります。
よって、X切片が右にスライドします。

よって、この選択肢は×です。

:誤りです。
まず、X切片(労働)について考えていきます。
賃金率が上昇するため同じ価格で得られる労働の量は減少します。よってX切片は左にスライドします。
次に、Y切片(資本)について考えていきます。
資本のレンタル価格は下落するため同じ価格で得られる資本の量は増加します。よってY切片は上にスライドします。

結果、等費用線の傾きが上図の様に変化します。
よって、この選択肢は×です。

:誤りです。
費用が増加した場合、そもそもの予算が増えると考えて下さい。
そもそもの予算が増えれば、資本に全投資した場合の資本の量は増加します。よってY切片は上へスライドします。
次に、賃金に全投資した場合に獲得できる労働の量も増加します。よってX切片は右へスライドします。


Y切片もX切片も原点から遠ざかることになり、この2点をつなぐ等費用線も原点から遠ざかります。
よって等費用線は右方へ平行移動することになるため、この選択肢は×です。

以上から、正解は選択肢アとなります。

(設問 2)
等費用線が右方に平行移動した場合、新しい費用最小化点もスライドします。

:誤りです。
点Eと新しい費用最小化点における費用は異なります(前提となる予算が増えている)。
よって、この選択肢は×です。

:正しいです。
新しい費用最小化点ではそもそもの予算が増えており、労働も資本も高い水準で達成されます。
よって、この選択肢は〇です。

:誤りです。
新しい費用最小化点ではそもそもの予算が増えており、労働も資本も高い水準で達成されます。
※「」と全く逆のことを言っています。
よって、この選択肢は×です。

:誤りです。
新しい費用最小化点ではそもそもの予算が増えており、労働も資本も増加します。
よって、この選択肢は×です。

今回は「労働も資本もともに少ない水準」となっていたため選択肢が×と言い切れますが、稀な例として一方の投資の効率化効果が強い場合、もう一方を減少させても産出量が上がる場合が考えられます。
その場合は投資効率が一定でない旨の説明が含まれるはずですので、注意しましょう(今回は投資効率について特に記載が無いため「労働も資本もどちらも増える」としていただいて問題ありません)。

以上から、正解は選択肢イとなります。

経済のグラフ問題は言葉で考えず、グラフを実際に書いてイメージで解く方が頭に入りやすいです。
慣れてくるとグラフを書かずに解答することもあると思いますが、できるだけグラフを書いてイメージする方がミスが少なくなります。

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